埋まっていたおじさん
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/09/22
04:22
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少しづつ声が近づいてくるのが分かる。
「おーい……おーい」
既に声は間近に迫っているみたいだ。
立ち止まり額の汗を拭いながら周囲を見渡してみる。
グルリ周りは、木に囲まれている。
重なり合う枝の間から夕日がチラチラと射し込み、枯れ木に被われた地面を斑にしていた。
ふと見ると少し離れた地面が少し盛り上がったところに、かなり大きな木が一本あった。
根本の部分の直径が2㍍はありそうだ。
どうやら声は、その辺りから聞こえているようだ。
木の周りをゆっくり歩いてみる。
するとすぐ下の方から声が聞こえてきて、びっくりした。
「ここや……ここや」
思わず木の根っこの地面辺りを見た。
そしてさらに心臓が止まるくらい驚いた。
地面から男の人の青白い顔だけがヌッと出ている。
頭も全部埋まり、顔の部分だけ切り取られたかのように、地面から現れていた。
目鼻立ちのハッキリした顔をしていて、口の周りに濃い髭を生やしている。
僕は恐る恐る聞いてみた。
「おじさん、どうしたの?」
男の人は少し困ったような顔をし2つの目をぱっちり開いて、僕の方を見ながら言った。
「すまんな、驚かして。
実はな何か寂しくなってな。
無性に誰かと話したくなったんや」
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面白かったです!
早速のコメントありがとうございます。
━ねこじろう
組の人に見つかって埋められちゃったのかと思いきやまさかの人面植物への転生、ぜひもう一度埋め直して養生してあげて欲しい。
なるほど、それも面白いですね
━ねこじろう
さい後におじさんの首から下は根っこだと言うことが、とても怖くてトラウマになりました。