これは生涯一トラウマ級の体験。
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それは秋も終わり、寒さも大分厳しくなってきた日のことだった。
会社近くの居酒屋は週末ということもあって、アフターファイブの店内は結構賑わっていたな。
俺は会社の同僚のSと奥のカウンターに並び座っていた。
しばらくはビールとつまみを魚に下らない四方山話に花を咲かせていたんだが、それもネタ切れになった頃ふいにSの表情が曇る。
そして一つ大きくため息をつくと、ボソリと呟いた。
「実はM代病気なんだ」
M代というのはSの彼女だ。
二人とも昭和的なレトロ感が好きで最近はわざわざ郊外の古民家を借りて、そこに二人で同棲しているらしい。
さらに生粋のオカルトマニアで、休みの日は心霊スポット巡りをしているそうだ。
俺はジョッキのビールを一口飲むと、「病気?ひどいのか?」と聞き返した。
Sは暗い顔で頷くと、続ける。
「去年の夏、軽い気持ちで一緒に噂の心霊スポットに行ったんだよ。
ほら知ってるだろ、郊外の国道沿いにある廃病院。
そこの院長元々は凄く人格者だったらしいんだが、年配になったくらいから頭おかしくなってな、入院患者数人を筋弛緩剤で殺した後、生き返らせるとか言って奇妙な儀式をやってたらしい。
最後は警察に捕まる前に自殺したそうだ。
それから夜な夜な院長の亡霊が出没するという噂が流れだした。
それでいつものノリで探索してたんだがな、その日は特に変わったこともなく退散したんだよ。
ただその翌日からなんだけどさ、彼女何故か体調崩してな。
初めのうちは単なる風邪かと思っていた。
だけど一向に良くならない。
それからどんどん衰弱しだし痩せ細りだして、、最後はとうとう寝たきりになってしまって、、
病院にもあちこち連れていったんだけど、どこにも異常はないと言われて医師も原因が分からないと頭を捻ってたんだ。
それからは本当にずっと悩んでた。
何人ものしかるべき人に相談もした。
そしたらさ、ある神社の跡継ぎなんだけどさ、高名な陰陽師を紹介してくれてな、
連絡をとると明日の日曜日に来てくれるというんだよ。
でさあ良かったら明日、一緒に立ち会ってくれないかな?」


























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