廃墟で見つけたモノ

後部座席にぐったりしたCを乗せた時、Aは何気なく廃墟の玄関を振り返った。

そして、確かに”ソレ”を見た。

玄関口に横一列に並ぶ子供達。
直感であの写真の子供達だと理解した。
全員こちらに背を向けており、やはり顔は見えない。

一度瞬きをしたらみんな消えていなくなっていた。

帰りの車中、Cは意識を取り戻した。
隣に座ったBが話しかけるもまだぼんやりとしていて目も焦点が合ってない。

しかし会話は問題なくでき、身体も異常は無いようでとりあえず安心した。

Cはあの件については全く覚えていないと言う。

あの日からAとBは現在まで特に何事もなく過ごしているらしい。
そして問題のCも自身は大きな病気や怪我等は今日までしていない。

Cは早い内に結婚しているが未だ子宝には恵まれない。

妻が3回連続で流産しているからだそうだ。
これがいわゆる霊障や呪いの類なのかは分からないとのこと。

あの廃墟は現在は取り壊され更地になっている。

俺は元の児童養護施設の名称と、具体的な場所をAから聞いたが、念の為伏せておく。