英雄は女性の服を掴んで、まるで自殺を思いとどまらせようとしているようだった。何か語りかけている。
だが、女の霊はそれにかまわず、欄干の上に立った。
いよいよ飛び込むぞ! と思ったその時、なんと英雄も欄干の上によじ登って幽霊と立ち並んだ。
さすがにこれはマズイ、危ないと思った武志は急いでクルマを降りて英雄の方へ向かった。
静香もクルマを飛び出して走る。
女の霊が今まさに飛び込もうとした瞬間、まるでタックルでもするように、英雄は川とは反対方向に女の霊を押し戻して、二人で橋の上に倒れ込んだ。
「死んだらダメだ!生きていればきっとなんとかなる!死んじゃダメだ!」英雄の叫び声がした。
女は泣いているようだった。「うわぁぁぁぁ」と、それは声というより、心の中に直接入ってくるような感じがした。
「ワタシも死にたくなかった!!」そんな女の叫び声が響き渡った気がした。
しっかりと抱きかかえて押さえ付けていたはずの女が、英雄の腕の中からすぅっと霧のように消えた。
走り寄る武志と静香に向かってキョトンとする英雄。
「あ、あれ?」
「大丈夫かオイ!」とまどっている英雄に声をかける二人。
「ねぇ・・・今の女の人、どこに行ったか知らない?」
どうやら英雄はアレを幽霊ではなく本当の人間だと思っていたらしい。
「実は・・・」と、本当のことを説明する。
と、その時、後ろの方でエンジンを吹かす音が聞こえる。
康夫だ。やつがパニックを起こしてみんなを置いて逃げだしたのだ。
「あ、康夫!逃げたアイツ!!」静香が激怒する。
武志はすぐさま携帯を取り出し康夫に電話する。
「おまえ、ナニ逃げてんだよ!!とっとと戻って来い! じゃないと後でぶっ〇すからな!!」
武志の叫び声があたりにこだまする。
「・・・じゃ、一緒に行こうか」英雄が懐中電灯を拾い上げながらそう言った。
「行くってどこへ?」
「橋を渡ったところに祠があるんだろ?みんなで拝んで行こうよ」
武志と静香はそれに従って一緒に祠まで行くことにした。
3人で祠にある小さなお地蔵様を拝む。
「さっきの英雄、カッコ良かったよ。見直しちゃった」静香が珍しく人を褒めている。
いじめられていた英雄君、幽霊を成仏した上に器の大きさに心がうたれました。静香ちゃんの謝罪の言葉も、いろんな思いが込められているように思えました。
英雄くん、男としてかっこよすぎです。
英雄くんの行動で成仏できて良かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。
この話を投稿した翌日に、橋から飛び降りようとしたブラジル人男性をスマホの翻訳機能を使って助けた、なんてニュースが流れてきました。あるんですよね、こーゆーことって。
そのニュース観ました!kamaさんの投稿と重なってましたね。話は変わりますが、武勇伝のタイトルが某芸人を思い浮かべました。
↑kamaです。ボクはよくあるんです。怪談を書くと紐づいたようなニュースが翌日か、三日くらい後に出る事が。数えるとキリがないくらい。
ところでタイトルですが、最初「武勇伝」にしようかと思ったのですが、そうするとどうせみんなの頭の中に「武勇伝、武勇伝っ」って2回出てくるんだろうなと思い、だったら最初から2回にしとけと。そんな感じで付けました(笑)
武志=ジャイアン
静香=シズカちゃん
康夫=スネ夫
英雄=ドラえもんに頼ってないのび太
【2ch】ハム速報がYoutubeで動画公開しましたね。なかなか感動的でした。
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