呪いの終着点
投稿者:ligy (1)
私の近所には少し変わったお婆さんが住んでいて、当時小学生の私は学校へ通うためにお婆さんの家の前を通らなければなりませんでした。
お婆さんは偏屈と言いますか、子供達に挨拶をしてちゃんと返さない子供には怒鳴りつける。
歩きタバコや歩き携帯操作をしてるような人にも注意しては口論している光景をよくみかけるような人でした。
また、近所ではゴミ出しにも口煩いらしく、主婦の間でも煙たがれていました。
そんな中、引っ込み思案で周りに流される性格の私は噂など知るわけもなく、お婆さんと普通に挨拶を交わしたためかひどく気に入られていました。
暫くして、雨の日に友達と下校していた時の事です。
家の近い男女5人でわいわい話ながら歩いていたのですが、仮にA君としますが、A君がお婆さんの噂を口にしたのが発端になりお婆さんの家を覗きに行くことになったのです。
お婆さんの家の外壁には綺麗なアサガオが咲いていて自宅と道路の目隠しの役目を担っており、小学生の身長だと外からじゃ庭が葉の隙間から見える程度です。
それで、業を煮やしたA君が傘を畳んで葉を掻き分けようとしたのを見て、私は「やめなよ」と腕を掴んだのですが、そのせいで傘が何かを突っついたようでガチャンと物音が鳴りました。
「やべっ」
A君にはその音の原因がわかっているようで、手で手繰るようなジェスチャーをして皆に逃げるよう促すので、どんくさい私も最後尾で皆の後を追いかけその場を立ち去りました。
翌日、雨の中登校すると門の前でお婆さんと教頭先生が立ち話をしているところに出くわしました。
私に気づいたお婆さんは挨拶をしてきたので思わずぎょっとしながら挨拶を返します。
「昨日私の庭の盆栽を割った子がいてね。この傘持ってた子。○○ちゃん、誰か心当たりない?」
お婆さんが手にしていたのは学校の非常用の置き傘で、実は昨日A君が黙って借りていたものでした。
A君は昨日お婆さんの庭に傘を落として逃げてきたのです。
「申し訳ありません。恐らく我が校の生徒である可能性があるので、こちらでちゃんと叱りますので。弁償につきましても学校側で対応させていただきますので…」
若干額に汗を浮かべながらも教頭が何度も申し訳なさそうに頭を下げて謝罪していました。
しかし、お婆さんは傘を手放すことなく、
「犯人は見つかり次第すぐに教えてください。ちゃんと本人に謝らさせてください。こちらでも犯人探しはしますので」
私と挨拶していたときの柔らかい笑みはそこにはなく、憤怒の形相で教頭を睨み付け時折意味深に口角をあげるのです。
その場を後にした私は、下駄箱で上履きに履き替えるとすぐさま教室に駆け込みA君を探します。
「A君、やばいよ」
教室の後ろで男子数人とプロレスごっこをしていたA君は「何が?」という顔を向けて次の言葉を待っていました。
「昨日、お婆さんの家に傘忘れた?」
「あー落とした。でも学校のだし別にいいし」
やはりあの傘は昨日A君が落としたものでした。
私はお婆さんが傘を手掛かりに盆栽を割った犯人探しをしている事、教頭を通して学校でも犯人を特定させて連れてくるように怒鳴り付けていた事を教えました。
「うわ、マジかよ。めんどくせえ。でも黙ってりゃバレないでしょ」
A君はかなり楽観的な性格で、この時も本当にどうでもよさそうに話を打ち止めるのでした。
読ませるねぇ、面白かった
少し理不尽な気もする呪いですね
お婆さんの気が済んでいればいいけど…
真相を、はっきりと伝え、真摯に謝罪すれば許してくれたのではないでしょうか。
あの日の出来事を、学校の先生やおばあさんに伝え、謝罪していれば、こんな事態にはならなかったのでは?謝罪し、真実を伝えることがそんなに怖いことでしょうか。未だに怯えているなんて。自業自得だろうと思ってしまいます。
逆に私を自己に合わせたのはお前かって言ってみたい
訂正自己× 事故
普通に怖い
般若の形相