友達が送ってきた廃墟巡りの動画
投稿者:N (13)
Aが恐る恐る部屋に入り始めたので、俺も気は進まないがAに続く。
Aのスマホは画面が光っていた。
Aがスマホを拾い上げると、どうやら俺とのライン画面のようだ。
「…『みつけた』」
画面を見ながらAはそんな事を意味深に呟いた。
「よかったな」
俺がそういうと、Aは「…これ」とスマホ画面を俺に向ける。
Aのスマホを覗き込んでみると、入力欄に『みつけた』と入力された状態だった。
「…怖っ。もしかして家のどこかに隠れてんのかな?」
俺もAも不気味に思いながら、部屋の押し入れに目が行った。
まさか、この中に隠れて様子をうかがってるのか?
互いに顔を向けて「どうする?」「開ける?」「やめとけって」と小声で押し問答していると、押し入れの中から『カリカリ…』と音が聞こえてきた。
「やっぱ中にいるって!」
「いいからこのまま帰ろうって」
あくまでも小声だが、俺たちは冷静さを欠くように話し合う。
Aのスマホを見つけた喜びと、部屋の中に何もいなかった呆気なさで、部屋に入る前に聞こえた音をすっかり忘れていた。
押し入れから聞こえる音は虫が這うような音ではなく、明らかに人為的な音だった。
いや、まだネズミとかの可能性もあるので確実性はないが、それでも押し入れの中に何か生き物がいる事は確かだ。
妙な気配を強く感じる。
俺はAのスマホも戻ってきたしもう帰ろうと提案するのだが、Aは「ここまできたらどんな奴が俺のスマホ拾ってお前にラインしたのか気になるだろ?」と、ちょっと俺の気を引くようなことを言って説得してきた。
正直、どんな奴がAのスマホを使って俺にラインを送り、『そこどこ』と俺の居る場所を特定しようとしたのかは気になってた。
どっちみちヤバい奴には変わりないだろうが。
Aは「人間相手なら俺に任せろ!」と意気込む。
開けてネズミやらムカデが飛び出して来たらどうすんだよと思いつつも、まあ、Aと二人がかりなら最悪どうにかなるかと甘い考えに到り、俺はAの提案をのみこんで押し入れの中を確認する事に決めた。
一応体格の良いAが身動き取れるようにライトは俺が持つ。
俺がライトを押し入れに向けて、Aが押し入れの襖を思いっきり引くと、中には二段に分かれたカラの内装があるだけで、中身は何もなかった。
拍子抜けと言わんばかりに俺とAは深くため息をつく。
虫も人も幽霊もいない。
じゃあ何の音だったんだ?と思いつつも、「Bが待ってるし、帰るか」とAが振り返ったので、俺も踵を返して「だなー」と顔を上げた。
そして、すぐに俺たちは足を止める。
顔を上げたまま硬直し、ワナワナと震えあがる。
大作ですな
読みやすくて一気読みでした
12ページもあったから読むか迷ったけど読んでよかった
夜中に一気読み!面白かった!
想像してただけで心臓が早く波打つのがわかった。
長いのもあってか結構怖かったわ(笑)