これはわたしがまだ12歳だった頃のお話し。
季節はちょうど涼しくなり始めた秋頃でした。
隣に住んでいた、仲良しな従姉妹のAちゃん宅に泊まりに行った夜に体験した、忘れられない恐怖体験を聞いてください。
当時のAちゃんの家は、昔ながらの木造二階建てでした。誰かが、廊下や階段を歩くたびにギシッギシギシ….…と軋むような音がする、木造の古いお家でした。
Aちゃんの部屋は2階にありました。
Aちゃんはとても几帳面な子で、部屋もキレイに整理整頓されており、知り合いから譲ってもらった2段ベッド、勉強机と本棚がある6畳ほどの部屋でした。
本棚は、3段ボックスでそれを横向きに置き、その本棚の上にぬいぐるみを並べていました。その中には、“ミィちゃん”と名付けられた猫のぬいぐるみも並べられていました。
その猫のぬいぐるみは、体を揺らすとミャーミャー鳴くぬいぐるみで、私たちの子ども時代と言えば、揺らすと鳴くぬいぐるみはとっても珍しく、子どもながらに私も”良いなぁ、かわいいなぁ”と、羨ましく思っていたものです。
そのぬいぐるみをAちゃんは特別大事にしていて、いつ頃だったか大切にしている理由をAちゃんに訊ねると、おばあちゃんが亡くなる前にプレゼントしてくれたものだと、嬉しそうに私に教えてくれました。
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話しは戻って、Aちゃん家に泊まった夜の事。
わちゃわちゃと2人で話しをしていて、お互いにいつのまにか寝落ちしていました。
それから、
どれくらいの時間が経った頃でしょうか。
突然――
キィィィィーーーーー!!!キィーー
耳鳴りよりももっと大きな音、何かのサイレンのような大音量の音が聞こえて、私は目を覚ましました。
その音にギョッとした私は、すぐに起き上がろうとしました。
しかし、体が布団に縛り付けられたかのように動きません。
必死に手足をジタバタさせてみますが、ダメです。腕も足も、首も、まったく動かない。
私は恐怖を覚え、大声で叫びAちゃんを起こそうとしました、、、が、ダメです。
声も全然出ていませんでした。
それは、生まれて初めての金縛りでした。
“助けて”と心の中で何度も叫びながら、
唯一動かせる目(眼球)だけで右側を見ると、
Aちゃんはすやすやと眠ったままです。
隣に人がいるのに、何ひとつ助けてもらえない状況が、子どもだったわたしは本当にたまらなく怖かったのです。
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そのときです。






















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