友達が送ってきた廃墟巡りの動画
投稿者:N (13)
ああ、何か怖くなってきた。
そう不安になっていると、すぐに二階に到着した。
左手の部屋の入口は開封されていて、覗いても誰もいないことが分かる。
つまり、Aのスマホを拾った人は右側の部屋の中に居るという事だ。
俺が『二階に着きました』と送ると、既読がつくのみ。
「返信こねえ」
「……はじめから居なかったんじゃねえの?」
もしかしたらスマホを拾った奴に揶揄われたのかもしれない。
そう疑った矢先。
『カリカリカリカリ……』
俺たちは反射的に物音がする方に振り返った。
そこは廊下と部屋を隔てる襖。
その中から『カリッ』と妙な音が鳴っていた。
「…中にいるっぽくね?」
「まじかよ…。こん中に虫わんさかいたんだぜ?やべえって」
Aは虫を想像して鳥肌を立てているが、俺は動画の内容を思い出して蒼白になっていた。
マジでどっちだ?
スマホを拾っただけの人間?
本物の幽霊?
Aとは違う焦りを浮かべながら、俺はAが「…開けるぞ?虫居たらマジで助けてくれよ?頼むぞ?」と小声で言い寄ってくるのを無言で頷いた。
Aはライトを点けて勢いよく襖を引いた。
中は動画のように真っ暗だったが、Aはすかさずライトを翳す。
動画と違って白飛びする時間も無く、すぐに光が当たった部分が露になる。
Aがライトをサッと部屋を見渡すように振れば、中の構造がある程度視界に飛び込んできた。
押し入れ、畳、砂壁、昔ながらの四角い電気傘、そして畳の上に無造作に置かれたAのスマホ。
俺たちはすぐには中に入らなかった。
Aは恐らく虫を入念にチェックしているのだろうが、俺は動画で見たものを警戒するようにライトが当たっていない暗闇を注視していた。
それにちょっと酸っぱいような匂いが部屋に染み付いていて、生理的に中に入ることを躊躇してしまう。
「虫いねえよな?」
「…いないな。くさいけど」
大作ですな
読みやすくて一気読みでした
12ページもあったから読むか迷ったけど読んでよかった
夜中に一気読み!面白かった!
想像してただけで心臓が早く波打つのがわかった。
長いのもあってか結構怖かったわ(笑)