私の親戚って、看護師が多いんですよ。
怖い話好きも多くて、だから集まるとだいたい「病院であった怖い話」になるんです。
誰もいない病室からナースコールが鳴る……なんていうのはしょっちゅうあるらしいですよ。
でもまあ、ほとんどは
「幽霊より急変が怖い」
「化けて出るなら仕事手伝ってほしい」
とか、そんなオチで終わります。
そんな親戚たちから聞いた話です。
──
いとこから聞いた話。
いとこが勤める病棟には、ある高齢のお爺さんが入院していました。
もう口から食べることはできなくて、点滴だけで静かに命を繋いでいる。
一日中ほとんど眠っていて、ゆっくりと“終わりに向かっている”状態。
そのお爺さんのお孫さんから、夜に病棟から電話がありました。
「お忙しいところすみません……変なこと聞くんですけど…」
「……うちの祖父って……退院してませんよね?」
もちろんその患者さんは病室で静かに眠っています。
点滴もモニターもついていて、とてもではありませんが動ける状態じゃありません。
伝えると、お孫さんは息を呑んで、
「そう、ですよね……。あの信じてもらえないかもしれないんですけど、いま、祖父が目の前にいて」
「“自分はもうすぐ死ぬから”って話すんです……」
お孫さんが言うには、夜に入院中のお爺さんが突然帰って来たのだそうです。
最初は勝手に退院してきたのかと思ったそうですが、どう考えてもお爺さんは一人で帰ってこれる体調じゃないんです。
お爺さんは帰るなり、俺はもうすぐ死ぬ。だから葬式の準備を始めとけ、あの人にも連絡しておけ、棺桶に入れてほしいものがある、など家族に向かってまくしたてたそうです。
確かに電話口は少しバタバタしている様子でした。
いとこはもう一度病室を確認しましたが、
お爺さんは変わらずそこにいて、眠っています。
そのことを改めて伝えると、お孫さんも
「……そうですよね……」

























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