ザッ ザッ ザッ
・・・男が 深い森の中を彷徨っている
もう薄暗い夕方だというのに懐中電灯は持っていない
なぜか見知った森のような気がするが
なぜ自分が彷徨っているか 覚えていない
つまりは 男は遭難している
グァーッ グァーッ
不気味な野鳥の鳴声が頭上に響く
あてもなくこのまま歩を進めて 意味があるのだろうか
かといって うずくまっても なおさら怖い
ふつふつとこの状況に怒りさえ湧いてくる
どこかに人里はないか・・・
そのとき 神の情けか 遠くに灯りがみえた
男は すがる気持ちで灯りに近づく
灯りのもとに辿り着いて 男は息を飲んだ
十字架に 人間大の藁人形が打ちつけられている
そして藁人形の頭だけがゆらゆらと燃えている
俺はこの不気味な光景を救いと思っていたのか
呆然とその様子を眺めていると、徐々に藁人形の火が弱まってきた
やがて頭が燃え尽きたときにギョッとした
夕日に照らされた燃えかすの中には、首をかしげ、恨めしげにこちらを睨む知人の顔があった
数瞬間 時間が凍った
男は悲鳴をあげて、ふたたび森の中に逃げ出した
しかし森に逃げこんだところで、元より遭難していたわけだから、暫くするとまた途方にくれるのである
いつのまにか夜になっていた
時間が経つにつれて喉も渇いてきた
どこかに水場はないか・・・
サラサラサラ
ふと気づけば近くに水の流れる音がする
近くに川があるのだろうか
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