介護施設では色んなことが起こる
投稿者:コメダ (3)
私が以前、介護施設で勤務していたときの話である。ただでさえ認知症の入居者さん、人生の最後に近づきつつある時期の方々が沢山いらっしゃる。時々亡くなることもあるのだから、「不思議な話」は多少どこにでもあるものだ。
私が遅番勤務のときのことだ。入居者さん達が皆居室に戻ってしまわれ、お休みになった後のことだった。
灯りを少なくし、広い共有スペースの隅で一人で1日の記録を書いていた。
入居者さん達が昼間起きているときに楽しまれるゲームの道具が大きな缶に入れて置いてある。TVの横、人が手を触れたりしなければ倒れない場所に置かれていた。
それが、窓も閉められ静まり返った室内で、いきなりガシャーン!と床に落ちたのだ。
中に入ったゲーム道具がバラバラと床に散らばった。
某有名霊能力者のTV番組を見過ぎて飽きて見なくなっていた私も、さすがに少し「うっ」ときた。
まあ、人が一人でいるときに怖がらせる低級霊だ。何の事情があるか知らないが、ここにいるべきでない方なのは確かである。
大声で怒鳴ったら退散するかもしれない。
ただ、実際に怒鳴ったら眠っていらっしゃる入居者さん達が起きたり不安になったりして大変だ。
心の中で「何してるの!ここはあなたが来るところじゃない!さっさと帰りなさい!いたって仕方ないでしょう!」と、あくまでも心の中で、怒鳴っておいた。
幸い、施設の同じ階で同じ目に合うことはそれ以来無かった。
ただ、電気製品でラップ音が鳴るときと違い、物を実際に動かすというのはそれなりに強い感情がないとできないというのを以前ネットで見たことがある。
物をいきなりガシャーン!と床に落とすのは、いかにも怒りの感情に見える。
私に怒りを持っている入居者さんがいるのだろうか?
あまりすぐには思いつかなかったが、あの方はそうかも?という方が1人思い当たった。
認知症は進行しており、あまり筋道だった会話はできないが、まだご自分の足で歩けるYさんである。
Yさんはとても食べ物に執着が強い方だった。食事やおやつが食べたくなると「すぐ持ってきて!」と大きな声で言われたり、呼び鈴を立て続けに鳴らされる。
そのフロアに入るようになってしばらくして、もうそれは渡り合うことが出来ないくらいの執着なので、スタッフは皆Yさんの食べ物のリクエストは断らず対応していると知った。「この人は、食べ物がコミュニケーションの手段であって、リクエスト通りにすることで大切にされていると感じる人なのだ」と。
私は当時介護関係のテキストで見た、「何でも言うとおりにしてあげることはあまりプラスにならない。過度の我儘に対しては、こうしたらこうなりますよ、だからこうしましょうね、一緒に〜しましょうね、等相手を尊重した対応で断るのがいい」といった対応をしていた。
だが、Yさんは例外だったのだ。
私が件のポルターガイストに遭遇したときは、記憶能力が衰えている方でも「このスタッフはこういう人だ」という刷り込みができている時期だった。
このポルターガイストの行動は、怒りの感情を伝えようとしているように見える。
そうした感情を私に対して持つだろうと推測できるのは、Yさん位だった。
眠っている間、人は肉体をまとっていない状態になりあちらの世界にいくらしい。
それを、以前あったTV番組、オーラの泉の霊能者の本で読んだことがある。
Yさんが寝てしまってから、私に「君をこういう風に感じているんだよ!」と伝えに来たのだろうかと、後になって考えた。
また別のとき、違うフロアの業務でこんなこともあった。
同じく遅番の日だった。
入居者さん達が居室に帰られてから、電気を落とした共有スペースで記録を書いていた。
何を考えていたのか覚えてはいないが、そのときは自分にとって大きかったことを、いらいらして考えながら記録を書いていたのだ。
書きながら考えが巡って、一つの結論を出し、頭の中がすこし落ち着いた。
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