【クリスマス特別編】サンタクロースの助手
投稿者:kana (216)
クリスマスを彩るきらびやかなイルミネーションが街にあふれる。
道行く人々には活気があり、笑顔がこぼれる。
幸せそうな光が夜の街を包んでいる。
そんなまぶしい光の中で、オレは今、真っ暗な闇に立っていた。
今、オレは死のうとしている。
高い鉄塔によじ登り、光り輝く下界を見ながら、絶望の淵とやらに立っている。
・・・風が冷たい。
だが、そんなことはもう関係ない。もうじき冷たさもなにも感じない体になるのだから。
目をつぶって鼻歌でも歌いながら1歩前に歩き出せば、
その瞬間、これまでの長くくだらない人生がそこで終わる。
何もイイコトのなかったこの世界もそこで終わる。
そうだ、それでいい。自分には何の価値もなかったし、この世にもう未練もない。
オレはその1歩を踏み出した。
「ねぇちょっと、あんた、死ぬ気?」
「うわぁぁぁ!!」
突然声をかけられて、心底びっくりした。
だってそうだろう。こんな鉄塔の上に、他に誰がいたと言うんだ。
あまりのことに心臓の鼓動がドキドキと高まった。おかしな話だ。これから死のうという寸前で、心臓は生きるために鼓動を早くしている。
「な、ななななんですか?ほっといてください。自分これから死ぬんで!」
「なぁちょっとさ、死ぬんならさ、その前にちょっと手伝ってくれよ。こちとら死ぬほど忙しいんだよ」
「うるせぇクソジジイ!これから死のうって時にジャマしやがって!まともに死なせてもくれないのか!」
「自〇だろ? そもそもまともな死に方じゃないじゃねーか。それより手伝えや」
・・・あまりのことに動転していたが、ふと気が付いた。
オレはすでに空中に足を一歩踏み出している。
普通ならここで真っ逆さまに落っこちて、とっくに地面を真っ赤に染めているはずだった。
それが空中で止まっている。
オレに声をかけて来たクソジジイに至っては、オレと同じ目線の空中に浮いている。
唖然として口をポカーンとあけたまま辺りを見回した。
「な・・・なんだコレ・・・」
「な、これやるからよ、これをお前の気に入ったやつにあげて来い」
ジジイが何か光る小さな涙型の種のようなものを手渡してきた。
続きはあるのですか? ほっこりしました。期待してます。
↑kamaです。読んでいただきありがとうございます。
続きは、みなさんの想像の中で膨らんでいただければいいかな、と思ってます。
サンタが人にプレゼントするのも「利他」ってことなのかもですね。
みなさん幸せになりますように。
デスノートのラストではリュークがバカ笑いしながら空を飛び回ってたけど(実写映画版)
このお話ではラストでサンタがバカ笑いしながら空を飛び回ってそうだよね。
いいお話でした。
優しいサンタさんは、誰の心のなかにもいます。
Kana さん、お返事ありがとうございます。
主人公のオレが幸せになるように思ってみます。
このほっこりした気持ちはKanaさんからのちょっと早いクリスマスプレゼント
と思いました。
他の作品も楽しく読ませて頂いてます。応援してます。
主人公はラストの親子に幸せの種は飲ませなかったと思う。
だって結婚すれば済むことだし。
教会に行こうと誘うのも結婚式のメタファーだと思う。
↑皆様コメントありがとうございますkanaです。いろいろ楽しんでいただけて何よりです。
他作品も読んでいただいてありがとうございます。この作品はクリスマス用にと思って書いたんですが、投稿したの早すぎました??なんか最近奇々怪々さんの新規投稿が活況であっという間に流されて行きそうですw 本番のクリスマス当日にはもうtopページから消えてますねこりゃ。学生さんが冬休みだからですかね? 年末の休みはみなさんの作品をゆっくり全部見させてもらいまーす!
いい話すぎて全然怖くはありませんでした。
↑それはよかったです。世の中には怖い話はぜったいに聞かないという人が大勢いるので、そーゆー人たちにも安心して読んでいただければと思いますし、怪談は怖いばかりじゃないんだと、ファンのすそ野を広げられれば本望です。