地図に載っていない班が、その住宅街には存在する。
話してくれたのはTさん(40代・主婦)だ。数年前、夫の転勤で引っ越した先での出来事である。
その町内では、ゴミの収集日が班ごとに異なっていた。Tさんの班は月・木、別の班は火・金。回覧板を確認して初めて、Tさんは「第七班」という名前に気づいた。しかし手元の配布地図に、第七班の区画はない。他の班はすべて番号と住所が対応しているのに、第七班だけが空白だった。
班長のKさんに聞いた。
「第七班さんはね、収集日が違うんです」
それだけで話が終わった。
数日後、別の班員に聞いた。
「ああ、あそこは独立してるから」
追加で聞こうとすると、相手は話題を変えた。
その後も何人かに聞いた。「古い住民だから」「最近できた班じゃないかな」「清掃当番には入ってないはず」。返ってくる答えは全員違った。なぜか全員、場所だけは言わなかった。
ある夜、Tさんは気がついた。木曜の深夜、誰も出していないはずの時間帯に、角のゴミ捨て場にすでに袋が積まれている。月・木・火・金——自分の班と他の班の収集日では、説明がつかない。
袋の数は、毎回同じだった。
引っ越し前の最後の挨拶でKさんに礼を述べたとき、ふと聞いた。
「第七班って、結局どのあたりなんですか」
Kさんは少し間を置いてから答えた。
「あそこは、ずっと前からいる人たちだから」
Tさんが転居後、その住宅街を地図で確認したことがある。現在も第七班の表記はない。ゴミ捨て場は今も同じ場所にある。
私はそれ以上、聞かなかった。






















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