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都市伝説

キミ・ナンヤネンさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

墓地の階段
短編 2021/12/22 00:56 2,868view

僕の住む街はずれに墓地がある。

墓地は緩やかな斜面に段々畑のような作りで2段あり、1段目、2段目に行くために4段ずつコンクリート製の階段がある。

階段の4段目と8段目の踊り場から左右に5基の墓石が並んでいて、全部で20基ある墓地だ。

さらに4段上るとちょっとした広場があり、誰かが持ってきたベンチもあって散歩などにはうってつけだ。

この階段の一番下の段には小さなお地蔵さんが祀られていて、住民の方が交代で手作りされた笠を被っている。

いつから始まった習慣なのか分からないが、階段を上る前には必ずお地蔵さんに手を合わせて一礼するのが決まり事となっている。

昔からこの墓地には色々な噂話がある。

お盆の時期の真夜中に人影あったとか、人魂が飛んでいるといった話だ。

そんな話の一つに「階段の段数が上りと下りで違う」というものがある。

数年前に僕は「13階段」にまつわる話を何かで読んだことがあり、それからというもの階段を上る時には段数を数える習慣が身に付いていた。

だから、その階段が全部で12段ある事は十分承知している。

これは父から聞いた話だ。

いわゆるバブルの時期だというから、今から30年以上前の話だ。

この近くに地下鉄の駅ができるらしいという事で、不動産屋がこの地域に目を付けた。

連日のように、不動産屋やら造成業者やら、いかにも成金といった格好の輩やらがよく視察に来ていた。

しかし、その連中がその墓地の階段で転んで怪我をするという事故が続出した。

幸い誰にも大きな怪我はなかったものの、転んだ人も業者の人も気味悪がってなのか、いつしか来なくなった。

ご先祖様たちが守ってくれたという人もいたが、単にバブルが弾けて開発中止になっただけだった。

僕はテレビか何かで見たことがあるが、人は階段を見ると無意識にすべての段は全く同じ高さだと認識するそうだ。

ところが、途中の1段だけが数ミリ違うだけで、その段でほぼ必ずつまずくというのだ。

特に、作りが古かったり、急ごしらえの階段だと段の高さが揃っていない可能性が高いということだった。

つまり僕が思うには、この古い階段は段の高さが揃っていなくて、初めて上る人はそこで転ぶという事だ。

地元の人がほとんど転ぶことが無いのは段の高さの違いに慣れているからだろう。

そう考えると、先祖の祟りなどという話は僕の中ではバカげた話にすぎなかった。

だから、いつか近いうちに12段ある段の高さを全て測ってみたいと思っていた。

話は変わるが、これは僕が犬のコタローを散歩させていた時の話だ。

それまでの長雨が終わり、久しぶりにコタローの散歩に出かけた。

コタローは興奮しているのか、僕が持っていたリードを振りほどいていつもの場所に走っていった。

いつもの場所とは、例の墓地の上にある広場の事だ。

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コメント(1)
  • おもしろかった!
    確かに降りる時は数えたことないですね

    2021/12/22/10:11

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