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心霊

ドライアイスさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

異質なリズム
短編 2026/03/02 19:15 58view

大学の夏休み、サークルの友人4人で山間の古いキャンプ場へ行った時の話です。

そこは管理人が日中しかおらず、夜になると自分たち以外に誰もいなくなるような、寂れた場所でした。

深夜2時を回った頃、一人が「肝試し代わりに、奥の廃トンネルまで歩こう」と言い出しました。

酒の勢いもあり、私たちはスマホのライトを頼りに出発しました。

舗装もされていない山道を15分ほど進んだ時、先頭を歩いていたリーダー格のカズが、唐突に足を止めました。

「……なあ、なんか聞こえないか?」

耳を澄ますと、草むらの奥から「カタン、カタン、カタン」という、乾いた木板を叩き合わせるような音が聞こえてきます。

「鹿か何かじゃないか?」

そう言い合った瞬間、音の主が光ひとつない暗闇から這い出してきました。

それは、人間でした。いえ、人間の形をした「何か」でした。

真っ白なつなぎのような服を着ているのですが、手足の関節がすべて逆方向に曲がっています。そのモノは、四つん這いに近い異様な姿勢で、肘と膝を交互に地面へ叩きつけながら、信じられないリズムでこちらへ突進してきました。

「ヒッ……!」

誰かが短い悲鳴を上げ、私たちは一斉にキャンプ場へ向かって走り出しました。

背後からは、あの硬質な「カタン、カタン」という音と、「……ズム、が……ってない……」という、壊れた録音機のようなノイズまじりの声が追いかけてきました。

必死の思いで車に飛び乗り、山を駆け下りました。

ふとバックミラーを確認すると、暗闇の中でそのモノが、ちぎれんばかりに腕を振り回しながら、街灯の下を一瞬だけ横切るのが見えました。

その顔には目がなく、裂けた口だけが三日月のように笑っていました。

なんとか街まで戻り、24時間営業のファミレスに逃げ込みました。

明るい店内に安堵し、震える手でコーヒーを飲んでいた時です。

不意に、カズがテーブルの下で自分の膝を「カタン、カタン」と叩き始めました。

「おい、カズ……やめろよ。縁起悪い」

私が注意すると、カズはゆっくりと顔をこちらへ向けました。

その表情は、血の通った人間とは思えないほど無機質で、底知れぬおぞましさを感じさせました。

カズの目からはいつの間にか白目が消え、どろりと濁った真っ黒な闇に変わっています。

彼はあの、録音のような声でこう囁きました。

「……お前だけ、リズムが、合ってないぞ」

気がつくと、店内にいた他の客も、店員も、全員が動きを止め、こちらをじっと見つめていました。

全員が、カズと同じ無機質な顔で。

そして一斉に、自分の肘をテーブルに「カタン、カタン」と叩きつけ始めたのです。

私は椅子を蹴立てて店を飛び出しました。

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