「・・・・・・チッ、なんだよ、この霧。おまけに迷子とか、シャレになってねーし」
セラの苛立ち混じりの声が、薄暗い山道に響く。
168センチの長身、制服のスカートから覗く悪魔の尻尾が、不機嫌そうに左右に揺れていた。
人間と悪魔の血を引くデーモンハーフの女子高生―――それがセラだ。
普段なら持ち前の身体能力で突破できるはずが、どういうわけか、
この奇妙な生垣の迷路からは抜け出せずにいた。
その時、背後の霧の奥から、奇妙な音が聞こえてきた。
「ぽぽ、ぽぽぽ、ぽ、ぽほ・・・・・・」
「⋯⋯?」
セラが振り返ると、霧を割って「それ」が現れた。
白いワンピースに、大きな麦わら帽子。
だが、異常なのはそのサイズだった。
垣根を遥かに見下ろす、優に8尺 (約2.4メートル)はある巨躯。
八尺様だ。
八尺様は帽子を抑え、うつむきながらセラを見下ろしている。
常人なら恐怖で腰を抜かす圧倒的な威圧感。
だが、セラは違った。フンと鼻で笑い、腰に手を当てる。
「へえ、デカいじゃん。オレより背が高い奴なんて滅多に見ねーから、
そこだけは認めてやるよ。・・・・・・って、何ジロジロ見てんだよ!」
「ぽぽ、ぽぽ・・・・・・」
八尺様は応えず、ただ無表情に、じっとセラを見つめ続ける。
その視線が、セラのハーフとしての「悪魔のプライド」を刺激した。
「おい、無視すんな! オレはデーモンハーフだぞ?
人間みたいに怯えて泣き叫ぶとでも思ったか?・・・・・・勘違いすんじゃねーよ!」
セラは威嚇するように、頭頂部から漆黒のツノを突き出し、
背中から小さな悪魔の翼を広げた。
周囲の空気が、悪魔の魔力でビリビリと震える。
しかし、八尺様は襲いかかってくる気配を見せない。
それどころか、セラのツノと、パタパタと動く尻尾をじっと見つめている。

























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