墓地の階段
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
短編
2021/12/22
00:56
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コタローはかなりのスピードで墓地の階段を上っていくが、僕は走っても追いつけなかった。
リードから手を放しているから、コタローが逃げたり何か迷惑をかけたりしないか、心配で必死に追いかけた。
僕は墓地の階段を息を切らせてやっとの思いで上の広場まで上ると、コタローは動きを止め、僕を迎えてくれた。
しばらくの間、持ってきたボールを投げたりしてひとしきり遊んだ後、広場から下りることにした。
今度はコタローのリードをしっかり握って階段を下りていく。
4段下り、次の4段も下りて、最後の4段を下りようとした時だ。
最後も当然4段のはずなのだが、なぜか5段あるのだ。
そう思った瞬間、誰かに右足首をグッと掴まれた感触があった。
もちろん周りには誰もいない。
「何だ!?」
と足首を見ようと思ったその瞬間、足を後ろに引っ張られたような感じで転んでしまい、反射的についた腕と顔の右半分が硬い階段の角に当たり、かなりの衝撃を受けた。
転んで横向きに倒れた状態で足首を見ると、半透明の白い腕が足首をしっかりと掴んでいた。
「うわあああ!」
思わず大声を出すと、その腕は消えて見えなくなった。
僕はその痛みでしばらく立ち上がれないでいる間、いろんなことが頭をよぎった。
まず、階段の段数を数える時はいつも「上る時だけ」だった事。
そして、さっき階段を上る前に、そこにあるお地蔵さんに手を合わせなかった事だ。
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おもしろかった!
確かに降りる時は数えたことないですね