「ねえチェルシー、ガチで意味わかんないんだけど」
画面の向こう、唯一繋がった通話相手のチェルシーは、
お気に入りのオカルト本から目を離さずにフッと笑った。
『何よレム。自撮りのフィルターがバグったとか?』
「違うって! 電車乗ってたら、見たことない無人駅に着いたの。
看板に『きさらぎ駅』って書いてある。っていうか、SNSも動画も全部圏外。
チェルシーとの電話だけ繋がってんの。ウケる、バグ?」
チェルシーの手が、ピタッと止まる。
『・・・・・・レム。それ、笑えない。すぐ線路に降りて、トンネルと逆方向に走りなさい』
「は?何言ってんの、ウチのスニーカー汚れるじゃん。
あ、なんか線路の奥から太鼓の音聞こえる。
お祭りかな? 誰か歩いてくるし、道聞いてみ・・・・・・」
『ダメ!!!声をかけちゃダメ!!!』
チェルシーの悲鳴のような大声が、スマホのスピーカーを震わせた。
『それ、ネットで有名な都市伝説。異界の駅だよ。近づいてくるのは人間じゃない!』
「え、ちょ、待って。その人、足がない。っていうか、片足だけで跳んできて――」
『レム! 走って! スマホなんか見てないで、前を見て全力で走りなさい!』
「無理無理、暗くて足元見えない! 画面のライトで照らさなきゃ・・・・・・!」
『フラッシュは消して! 奴らに見つかる!』
「いやあああ!音が、太鼓の音がすぐ後ろで鳴ってる!!」
『レム! 聞こえる!? 走るのをやめないで!』
「チェルシー!助けて、バッテリーあと3%しかない!」
『レム、落ち着いて! トンネルを抜ければ、戻れる可能性がある! 諦めないで!』
「無理無理、音が、太鼓の音がすぐ後ろで鳴ってるってば!!」
























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