さっきまで普通に眠っていた娘が、突然の高熱を出して苦しんでいる。
母は驚いて、必死に私をなだめたそうです。
すると私は、泣きながら突然こう叫び始めました。
「追いかけてくるよ! 追いかけてくるよ!!」
「何が追いかけてくるの?」
母が聞いても、私は泣きわめくばかり。
高熱で汗をかき、泣いているせいで顔は真っ赤だったそうです。
そして、ようやく言葉になったのが――
「真っ赤な布を着た、真っ白な顔をして、真っ黒な髪をした女の子が追いかけてくる!!」
という言葉でした。
「布って……何?」
母がさらに聞くと、どうやら「着物」のことだったらしい。
つまり私が見ていたのは、
真っ赤な着物。
真っ白な顔。
目の上で切り揃えられた前髪。
そして、真っ黒な長い髪をした女の子。
だったそうです。
母は、泣きわめく私を抱きしめながら、どうしていいのか分からずにいたそうです。
そんな時、父が帰宅しました。
家の中の異様な雰囲気に気づき、
「……どうした?」
と尋ねた父。
母は慌てて、私の様子を父に説明しました。
そしてふと、玄関に置いてあった木箱のことを思い出したそうです。
それまで中身を一度も見ていませんでした。
父の目の前で、初めて蓋を開ける。
そして――
中に入っていた人形を見た瞬間。
母と父は、無言で顔を見合わせたそうです。
「……すぐに返してくる!!」
そう言うと、母は慌てて人形を持ち、おばさんの家へ飛び出していったそうです。

























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