そこから先のことは、私にはほとんど記憶がありません。
どうやら私は、そのまま眠ってしまったらしい。
そして次に目を覚ました時には――
熱はすっかり下がっていました。
目の前には、温かいご飯が用意されていて、
「熱、下がった? 良かったね」
そう言いながら、母が私の頭を撫でてくれた。
その場面だけは、今でもなんとなく覚えています。
後になって知ったのですが、あの木箱に入っていたのは、日本人形だったそうです。
実家に帰ると、何気なく怖い話をすることがあります。
そんな時、我が家では必ずこの話が出てきます。
私自身には、当時の記憶がほとんどありません。
だからこそ、余計に怖い。
あの時、私が見ていたものは一体何だったのでしょう。
偶然だったのか。
高熱による幻覚だったのか。
それとも――。
代々受け継がれてきた人形には、本当に何かが宿ることがあるのかもしれません。
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