私が一人暮らしをしていた頃、セキセイインコを飼っていました。
雛の頃から挿し餌で育てたので、とても人によく懐いていました。
オスだったこともあり、成長すると、私の話す言葉をよく真似してお喋りするようになりました。
当時住んでいたのは、ワンルームのマンション。
仕事に行く前には、いつもインコに、
「行ってくるね。ちょっと待っててね」
と声をかけていました。
夜、寝かせるためにケージにカバーをかけようとすると、決まってインコが、
「ちょっと待っててね」
と言う。
私が話しかける言葉を覚えて、同じ言葉を返してくる。
いつの間にか、それが毎日の習慣になっていました。
当時の私は、家でテレビも見ませんでした。
ラジオも音楽も聴かないし、YouTubeも見ない。
本を読むことが好きだったので、家ではほとんど本ばかり読んでいました。
だから部屋の中で聞こえるのは、インコの鳴き声と、私が話しかける声。
そして、それを真似してお喋りするインコの声。
そんな生活でした。
そんなある日のことです。
仕事から帰宅すると、何となく室内に違和感がありました。
「……あれ?」
本の配置が、少しだけ変わっていたのです。
毎日のように読む本なので、私は本の位置をかなり正確に覚えていました。
ほんの少しズレているだけでも気づく。
でも、
「気のせいかな……」
そう思いました。
ところが、それから数日。
仕事から帰るたびに、なんとなく部屋の様子がおかしい。
本の位置が、ほんの少し変わっている。
けれど、何かがなくなっているわけでもない。
だから結局、
「気のせいなんだろう」
と、自分に言い聞かせていました。
























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