※実話を元に構成しています。
以前、マンションの103号室に住んでいた時の話です。
103号室は一階にあり、オートロックの扉を入ってすぐ、最初に目に入る位置にありました。
そこに住み始めて2年ほど経った頃、106号室に新しい家族が引っ越してきました。
父親、母親、そして子供が1人。
父親は坊主頭で、顔立ちがはっきりした男性で、
マンション内で会うと、いつも笑顔で挨拶をしてくれる。
気さくで、優しそうな人という印象でした。
母親と子供については、タイミングが合わなかったのか、引っ越しの時に見かけたくらいでした。
ある日のことです。
私は休みで、自宅でゲームをしていたら
突然、外から女性の叫び声が聞こえてきました。
「助けてー!!」 「殺される!!」 「警察呼んで!!」
最初は、聞き間違いかと思いましたが
どう考えても女性の声です。
慌てて部屋を出て、エントランスへ向かいました。
すると、106号室の玄関が開いており
その中にいたのは、あの坊主頭の男性でした。
男性は奥さんに馬乗りになり、髪の毛を力いっぱい引っ張って
握りしめた拳を振り下ろそうとしている。
奥さんは必死の形相で、
「助けて……!」
と、こちらに助けを求めていました。
私はすぐに110番通報しました。
ほどなくして警察が到着し、その場は収まりました。
その後、あの家族がどうなったのかは分かりません。
ただ、それ以来、奥さんと子供の姿を見かけることは一度もありませんでした。
ところが―
坊主頭の男性だけは、その後も何事もなかったかのように106号室で暮らしていました。
マンション内で会えば、以前と変わらず
「こんにちは」
と、いつものように気さくに挨拶をしてくるのです。

























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