奇々怪々 お知らせ

不思議体験

キミ・ナンヤネンさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

幼馴染の話
長編 2026/07/15 02:31 130view

「無理じゃないよ。」

久しぶりに会ったMに何を話したらいいのかと考えた。

「そうだ、なんで〇〇高校を選んだの?××学園に行くんじゃなかった?」

「××学園に見学にも行ってみたけど、あんなお嬢様学校は堅苦しいっていうか、なんだか自分には合わないみたいだし。」

Mはそう言うと、軽く鼻をすすった。

Mが鼻をすする時は、何か嘘をついた時だ。その癖は子供のころから変わってない。

ただ、その時は何が嘘なのかはわからなかった。

「これ覚えてる?」

Mは制服のポケットから1枚のハンカチを取り出して僕に渡してきた。

「これって…確か…。」

「そう、小学3年生の誕生日にプレゼントでもらったやつよ」

ハンカチは一面がピンクで、隅には当時流行っていた妖怪をあしらったキャラクターがプリントされている。

その隣には当時自分で書いたであろう、色あせた「M」と名前が入っていた。

そして、その上には真新しいしっかりとした文字で「ありがとう」と書かれていた。

僕はハンカチをしっかり見ようとして、広げてMから視線を外した。

ハンカチ越しに、自分の足元にははっきりとした影が見えた。

さっきまで曇っていたはずの空を見上げると、流れる雲の隙間から太陽が覗いて、日差しがいつもより強く眩しく感じられた。

視線をMに戻すと、Mも僕を見つめていた。

しかし、その様子が変だった。

Mの体が透けている。

何かの見間違いかと思ったが、Mの足元を見ると、そこには影が無かった。

(何だ…これは?)

もう一度Mの顔を見ると、さっきよりも透けている。

透き通るような透明の肌という表現があるが、実際にMの体は透けていて、向こうの景色が見えるほどだ。

「…もう戻らないと…」

Mが消えそうな声でつぶやいた。

思えば、こうやってMと見つめあって話をしたのは何年ぶりだろう?

そんなことを思ってMを見ると、いつの間にかMの目からは大きな雫がこぼれていた。

雫はまるで蒸発するように空中へと消えていったが、雫はあふれては消え、またあふれては消えている。

Mはまだ何か言いたそうだったが、消えていく体に比例して声さえも消えかかっていた。

3/4
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。