多くのファンが押し寄せる千葉県にある某テーマパーク。二千二十四年では年間で約千五百十万人ほどの入場者数だと報告されているほど、昔から大人気の施設。(二千二十五年十月 日本経済新聞調べ)
心霊スポットや旅行先、自宅などの日常的な場所での不可思議な体験談は頻繁に聞くが、煌びやかで賑やかなこの某テーマパークにも、どうやら不可思議な体験談はあるようだ。
沙織さんは友人とそのテーマパークに朝から遊びに行っていた。
様々なショーや乗り物を楽しむ。九百九十九体の幽霊が出ると言われているマンションをモチーフにしたアトラクションに乗った時のこと。
友人は右の位置、沙織さんは左の位置に座っている。移動しているにも関わらず目が合い続ける絵画達。ひとりでにめくれる無数の本。青白く光る蜘蛛の巣。朝から遊んでいた疲れもあり、沙織さんは見慣れた風景を横目に船を漕いでいた。
どこまで続くのかわからない長い廊下。
影の何者かが演奏を始めるピアノ。
針がぐるぐると回る時計。
もうすぐこの時計に差し掛かるという頃、ウトウトとしている沙織さんの左肩を、骨ばった手がチョップをするかのように側面で「トン」と叩いてきたのだ。
寝かかっている自分を「寝るともったいないから」と友人が起こしてきたのかと思ったが、友人は右に座っている。左手で右肩を叩いてくるならわかるが、わざわざ叩きにくい左肩を叩くだろうか。仮に叩いたとして、目の前に友人が見えていないとおかしい。
乗り慣れたアトラクションでおこったその一瞬の出来事に、怖さを隠しきれなかった沙織さんは降りたあとすぐに確認をした。もちろん、友人は沙織さんの肩を叩いてなどいない。
このアトラクションには、本物の幽霊が出るなどの様々な噂がある。どこまで続くのかわからない長い廊下で少女を見たという証言や、暗くなると現れる青白い人魂、窓に映る女性の姿など。
あくまで設定として千人目の幽霊を待っていることになっているが、ここに潜む何者かは本当に誰かを待っているのかもしれない。出口付近の頭上にいるウエディングドレス姿の幽霊が言っているように。
『早く戻ってきてちょうだい
死亡証明書を忘れずに持ってきてね
私たちの仲間になる決心がついたなら
最終的な取り決めをしちゃいましょうよ
私たち死ぬほどあなたがほしいの』
























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