それからは毎日Mの母にLINEをするのが習慣となった。
しかし、Mは相変わらず昏睡状態のままだという返事があるだけだった。
いつものようにMの母にLINEすると
「すぐには回復する見込みがないと医者から言われました。せっかく連絡をもらっても同じ返事しかできないからしばらくは連絡しなくていいですよ。何か容体に変化があったらこちらから連絡します。ごめんなさい。」
という返信だった。Mの容体は徐々に悪くなっているのかもしれない。
Mの家族がかなり憔悴しているのは知っているし、迷惑をかけてもいけないから、それ以来僕からは連絡はしなくなった。
その後、僕は高校の入学式に出席したが、当然Mの姿はそこには無かった。
聞いた話では、Mの入学の手続きは終わっていて、制服やカバンも用意してあるそうだ。
学校の配慮もあって、回復したらいつでも通学できるようにしていたらしい。
学校から家に帰ると少しの緊張から解放され、うっかりして制服のまま散歩がてら近くの公園へと向かった。
自販機で飲み慣れないブラックコーヒーを買い、ベンチに座って飲み始めた。
空はどんよりとしていて、まるで今の自分の気持ちを表しているようだった。
少しずつコーヒーを飲みながら空を見上げると、雲の流れが妙に速かった。
その時
「(僕)!こんな所で何してんの!?」
声の方に顔を向けると、そこにはMの姿があった。
それは紛れもなく、真新しい高校の制服を着たMだ。
「あ…あ…」
僕は驚きのあまり声を失った。
「何してんの?って聞いてんの!」
「…何って?…っていうか、体は治ったのかよ?」
「…まだ完全じゃないけど、抜け出してきちゃった。」
「…抜け出してきたって…大丈夫なのか?」
「ちょっとだけならね。でも、すぐに戻らないと。あ、そこ座っていい?」
「あ、ああ…。」
少し距離を取って、僕とMは同じベンチに座った。
「コーヒー?珍しいね」
「高校生になったからね…。ちょっと練習っていうか…。」
「無理して」
Mはいたずらっぽく笑った。



























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