奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

お多福女ふたたび
短編 2026/06/01 06:31 169view

毒島は視線だけを向けた。
「知らん」

「都市伝説です」
「人が一度に受け取れる幸福には上限がある。その上限を超えると現れる」
「お多福面の女が」
「それを見た人間は、死にたくなる」

毒島は鼻で笑った。
「くだらん話だ」

その瞬間、携帯が鳴る。

毒島は通話を終え、立ち上がる。
「悪いな。病院だ」

「おめでとうございます」
朝生はジョッキを軽く上げた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

病院。

毒島は裏口から入り、廊下を抜け、個室に入る。

「愛弓、おめでとう」

娘は弱く笑った。

「義彦くんは?」

「上場準備で会社よ」

毒島は肩をすくめる。
「忙しい男だ」

娘は小さく言う。
「幸せすぎると、怖くなるね」

毒島は煙のない空気を吐くように笑った。
「気のせいだ」

3/5
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