1964年5月、アメリカ南西部の田舎町で起こった不可解な事件の話。
某日早朝、商店街に黒いセダンが数台現れた。その車体は立ち込めた霧でどれも濡れていた。
車から降りてきたスーツ姿でサングラスの男達は、「ご協力ください、テレビの撮影です」と、商店街を通る町民に触れ回った。
彼等が語った撮影の内容説明はこうであった。
科学の不思議や面白さを紹介する有名なテレビ番組の企画で、町民100名に付近の公園に集まってもらい、そこに設置された大型スピーカーから1分間『ある音』を流し、参加者はそれが『何の音に聴こえたのか』を答える、というシンプルな実験のようなもの。
番組の名は米国内で放送されていたお馴染みのタイトルであった。男達の車に局名の書かれた大きなステッカーが貼られていたというのもあり、はじめは懐疑的だった人々も直ぐに協力的になった。
100名の老若男女が集まるのにあまり時間はかからず、砂利の上に置かれた大型スピーカーに全員が注目した。
ウ─────────────────────
実験は終了した。
以下のデータは、テレビスタッフに交じって集計に参加した酒屋の店主の話と、『対応に追われた』病院側の報告である。
65名は「救急車の音」と答えた。
14名は「パトカーの音」と答えた。
11名は「サイレンの音」と答えた。
7名は、音が鳴りだした当初から激しく嘔吐し「音を止めてくれ」と訴えた。這いつくばり痙攣する者もいた。
3名は「何も聴こえなかった。それとスピーカーの横にいた、気味の悪い裸の男は誰なのか」と答えた。
黒いセダンが去ったのちに、実験に参加した57名は下痢や軽い吐き気を訴えた。
他24名は数日後、耳の周りに水疱や腫瘍が出来た。
他9名は顔面神経麻痺になった。
他7名は吃音になった。
他3名は実験終了後、3時間以内に急死した。
この日の出来事は、彼等の言った科学の番組で放送される事は当然無く、悲しい事に『小さな町で起こった怪奇事件』としてニュースの報道として紹介される始末となった。


























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