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呪い・祟り

モンタージュさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

大学の底地
長編 2026/04/01 12:57 338view

 帰り道にラーメン屋に寄った。
 いつも3人で行く駅前の個人店だ。
 カウンターに座ると、店主がちらっとこっちを見る。
「今日は1人か」
「……はい」
 短く答える。
 妙に静かだった。
 隣に誰もいないだけで、こんなに違うのかと思う。
「大学、もうすぐ無くなるらしいな」
 ラーメンを湯切りしながら、店主が言う。
「らしいですね」
「ただでさえ客来ないのに困ったもんだよ」
 とおどけながら、続ける。
「あそこ建てるとき大変だったらしいからなぁ」
 少しだけ、手が止まる。
「何がですか?」
「出たんだよ。いろいろ」
 麺をどんぶりに入れる音。
「骨とか、墓石とか。」
 視線を上げる。
 店主は気にした様子もなく続ける。
「昔、墓地だったらしい」
 嫌な感じが、ゆっくりと腹の奥に落ちていく。
「でもまあ、処分するだけの予算がなかったみたいでな」
 スープが注がれる。
「そのまま埋めて、上に建てちまったって話だ」
 どんぶりが目の前に置かれた。
 湯気が立ち上る。
 店主はそれ以上言わなかった。
 ラーメンを見下ろしたまま、しばらく動けなかった。
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 翌日。
 喫煙所に行くと、火がついていないタバコを咥えた浅井がいた。
「よう」
 声をかける。
「ああ、遠藤」
 目がうつろで様子がおかしい。
「この前お前が言ってた女の事だけどさ…」
 と切り出すと
「ん?いいとこだよな~」
 と浅井はニタっと笑った。
「は?お前大丈夫か?」
 視線が合わない。
 そのまま、話は続かなかった。
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 放課後、浅井を捕まえた。
「ちょっといいか」
「ん?」
「歩いて帰るなよ」
 自分でも、何を言ってるのか分からなかった。
「なんで?」
「いいから」
 浅井は少しだけ首を傾げて、
「別にいいだろ」
 と、軽く笑った。
 そのまま歩き出す。
 坂の方へ。
「おい」
 俺は放っておいてはいけないと思い追いかける。
 夕方の坂は、人が少なかった。
「待てって」
 声をかけても浅井は反応しない。

「関わるなって言ったろ!」
 またあの笑顔だ。
 1人でぶつぶつと呟きながら歩いていく。
 俺はその異様な雰囲気でそれ以上追いかけることができなかった。
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 それから、何度か止めようとした。
 講義終わり。
 昼休み。
 帰り道。
 でも、そのたびに浅井は同じことを言った。
「大丈夫だって」
「いいやつだよ」
「ちゃんと見てくれるし」
 話が通じていない。
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 最後に浅井の形をしたものを見たのは、フェンスの向こう。
 もう、校舎はなかった。
 剥き出しの土。
 掘り返された地面。
 重機が並んでいる。
 その中に、
 1人、ぽつんと立っていた。
 何もない場所に。
「おい」
 フェンス越しに声をかける。
 反応がない。
「浅井!」
 もう一度呼ぶ。
 ゆっくりと、顔が上がる。
 こっちを見ているはずなのに、目が合わない。
 それでも、口元だけが笑っている。
 また同じ顔だった。

4/5
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