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不思議体験

期待の新人さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

校内放送
短編 2026/05/07 03:18 458view
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私の高校では、校内に不審者が侵入してきた際に流れる放送(隠語のようなもの)がある。そのワードは、「〇年4組の鍵をお持ちの先生は、至急職員室まで〜」という物だ。私達の学校は学年120人、1クラス40人×3なので、4組なんてものは存在しない。校内の人間には分かるが、外部の侵入者には分からないシグナルだ。

ーー
ある日の二限の最中、突如として例の放送が鳴った。

「三年四組の鍵をお持ちの先生は、至急職員室までお願いします。」

急な出来事に教室中がざわめき出したが、直ぐに先生が指示を出し、ドアの前で椅子を組もうと動き出した。だが、また放送が流れた。

「これは誤報です。」

おお、とクラスがまたざわめき出した。先生の落ち着けという声も届かないほどにだ。30秒ほどそれが続いて、少しずつ教室は静かになった。

先生も安心したように、また授業を始めた。それと同時に、放送が流れた。

「二年四組の鍵をお持ちの先生は、至急、職員室まで!!」

その音声は酷く音割れし、鼓膜を刺す様な爆音だった。放送室の向こうで重大な出来事が起きていることは、容易に想像ができた。クラスの女子とビビりな男子は泣きそうだったかもしれない。私たちは立ち上がって、ドアの向こうで椅子を組み始めた。だが、さらにその時だった。

「これは誤報です。」

だが、その放送を信じた者は誰もいなかった。その声は妙に機械的で、先程の爆音とはうってかわり抑揚も感情も感じられなかった。なによりこの学校は比較的規模が小さいので、先生の名前はだいたい覚えていたが、その声は知らなかった。

かれこれ20分ほど黙り込んでいたと思う。先生の指示で体育館へ連れていかれ、全校集会が始まった。もちろん例の放送の件だ。先生も生徒も全員体育館に集まり、校長の話を聞いていた。その時だった。

さっきの機械的な声が、電波の調子が悪いのか途切れ途切れで、こう放送された。

「…ありがとうございます」

今校内には誰一人としていないはずだ。見渡しても、体育館に教師全員集結している。生徒もきちんと点呼を取ったはずだ。今放送室にいるのは、誰なんだろうか。

阿鼻叫喚の体育館の中、私は気づいてしまった。妙に青白い顔が、ドアから体育館を覗き込んでいるのを。

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