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呪い・祟り

montageさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

大学の底地
長編 2026/04/01 12:57 4,580view

近くにいた作業員に声をかける。
「あそこに人いるんですけど」
指さす。
作業員はそっちを見て、
「どこ?」
と言った。
何もない場所を見るみたいに。

もう一度、フェンスの向こうを見る。
ただ、そこに立っている。
掘り返された土の上で。
最初から、そこにあったものみたいに。

風が強い。
土の匂いがした。
少しだけ、甘い香りが混ざっていた。
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3. 直美

ようやく、空が見えた。
重機の爪が地面を掻くたび、長いあいだ私たちを押さえつけていた土が剥がれていく。
初めに出てきたのは、半分に割れた墓石だった。
次に、黒く変色した骨。
作業員たちは手を止めた。
何人かが穴の底へ降りてきて、散らばったものを拾い集めている。
でも、私には誰の骨か分かる。
みんな、ずっとここにいたから。
大学を建てるとき、墓石は砕かれ、骨はまとめて埋め直された。
名前も、場所も、残してはもらえなかった。
その上を、毎日たくさんの人が歩いていった。
誰も下を見なかった。

「もうすぐ、みんな出てこれるね」
そう言うと、隣で浅井君が頷いた。
少し離れたところには、松原君もいる。
もう埋まっているけど。

2人とも、もう自分の名前を覚えていない。
それでいい。
名前は地上にいる人たちが使うものだから。
フェンスの向こうで、遠藤君が浅井君を呼んでいる。
何度も、何度も。
まだ覚えているらしい。
浅井君が、嬉しそうに笑った。
私は遠藤君を見つめた。
あの人も、ちゃんとここを見てくれている。
作業員の1人が、掘り出した骨を箱へ入れた。
その瞬間、遠藤君が口を閉じた。
浅井君の名前を呼ばなくなった。
代わりに、不思議そうな顔でフェンス越しにこちらを見ている。
目が合った。
私は笑って、手招きした。
遠藤君は少しためらってから、工事現場の入口へ向かって歩き始めた。

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