私「ごめん待った!?近くに自販機なくてさ〜」
心結は立ったまま動かない。
私「心結?大丈夫?っていうか心結ってこんなに身長高かっ…」
心結の足は地面に着いていなかった。
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私は幼い頃から花や植物が恐ろしかった。外は植物だらけで家から出るのが億劫になる。そんな私に咲は春になったら花見をしようと言った。私が嫌だと言っても聞かず勝手に予定を決められた。
花が咲く、私が嫌いな春が来てしまった。
今日は花見の日。昨日の晩は恐怖で眠れなかった。「朝に行こう」と一方的に決められてしまった為、早い時間から準備を始めた。家から出る二十分程前に薬を服用する。その手はもう既に震えが止まらなくなっていた。
何時からか、外に植物があると思ってしまうと家の中でもたまに手の震えや動悸がすることが増えた気がする。咲は「恐怖症如きで大袈裟」って言うけれど、日によっては字も書けなくなってしまう。確かに咲が言う通り、自分の苦手な物にはちゃんと向き合った方がいいと思っているが、それが出来たら今困っていないだろう。
時間は刻一刻と迫って来る。私は手の震えをなるべく止める為の分厚い手袋と、極限視界に花が入らない様にする帽子と日傘を持って家を出た。
恐怖と不安で自然と歩く速度が速くなり、予定より早く着いてしまった。必要な物は咲が持ってきてくれるそうで、私は荷物が少なかった。
数分すると、咲が到着した。
咲「お、おはよ…」
どうやら咲は私の服装に驚いている様だった。
私「お、おおおおおはよ…」
呂律が上手く回らない。鼓動が早鐘を打つ。
咲「相変わらず大袈裟だなぁ。ほら、行くよ!」
咲に手を引かれ、躓きそうになりながら歩く。
咲「おぉ!めっちゃ満開だ!」
私は咲の視線の先にある木を見て、喉がひゅっと音を立てた。
咲はそんな私を気にも留めず、レジャーシートを木の真下に広げた。
私「え…ちょっと桜に近過ぎない…?」
呂律が上手く回らない為ゆっくりと私は喋る。
咲「そう?別に普通だと思うけど?」
別に普通。その言葉を聞く度に私は異常だと思い知らされる。前、別の人に私が「花恐怖症」だと話したら、その人は「心結は花恐怖症だからw」と言いふらしていたな。そんな嫌な記憶が蘇った。
咲「ごめん!飲み物買ってくるから此処で待ってて!先に食べてていいから!」
鞄から食べ物を取り出していた咲はそう言って立ち上がった。
私「え…!?ちょっと待ってよ…」
咲は私の声も聞かず走っていってしまった。今、私は一人だけ。沢山の桜の花弁は、まるで私を睨むかの様にこちらを向いている。
鼓動がより早まる。皆は美しいと言うその桜は、私にはグロテスクにしか感じられなかった。

























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