消えてしまいたい。もう花を恐ろしいなんて感じたくない。
私は鞄の中のロープを近くにあった梯子に登って桜の木に結び、首を通した。
直後、私の体重でロープはぎしりと音を立てた。
これで、咲にも花恐怖症の人の気持ちが分かるかなぁ。
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心結は自ら首を括って亡くなってしまった。私がお茶を買いに行っていなければ、私がお花見なんて誘わなければ、心結は今も生きていただろうか。
心結の葬式が終わり、私は泣きながら家へ帰った。
あの、心結が首を吊った桜の風景が目に焼き付いて離れない。
帰り道、桜の咲く木の下をすれ違った。
「…ふふふ」
それは確かに心結の声だった。
私「心結…?」
声のする方へと振り返る。すると其処には心結が居た。
私「心結!ごめん、私がお花見なんて誘ったからだよね。本当にごめん…」
心結は何も答えない。
私「心結…?」
よく見ると心結の口は弧を描き、首は紫色に変色している。
そして帽子から微かに見える目は、溢れ落ちそうな程大きく見開かれていた。
私「な、何…?」
心結「ねぇ、ちゃんと向き合ってね」
その後、ごとんという鈍い音が聞こえて私は悲鳴を上げた。
心結の紫色に変色した首から上が落ちた。そしてその首の断面からは桜の花弁がほろほろと流れ出す。
私は迫って来る心結から逃げようとした。
心結「向き合わなきゃだめじゃない。」
さっきまで地面に落ちていた心結の頭は私の腕に抱えられていた。
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あれから私は花が怖くなってしまった。花を見ると、全てあの時の心結の見開かれた目の様に見えてしまう。花を見るたび、動悸と手の震えが止まらなくなる。
心結はずっとこんなにも辛かったはずなのに、私は酷いことをしてしまった。
心結、ごめんなさい。
だからもう、私の前に出ないで。私の夢に出ないで。



























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