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その日朽屋は、休み時間にさっそくクラスの男子に『卍固め』や『コブラツイスト』、果ては『腕ひしぎ逆十字固め』や『三角締め』等のやり方を教えながら締め上げていた。
幼少の頃から武道や格闘技の類を祖父から叩き込まれており、すでに同じ年代の子たちでは手も足も出ないレベルになっているため、祖父からは格闘技系の部活には参加しないように注意されていた。そんな朽屋は実は父親のビデオライブラリーで見たアントニオ猪木が大好きで、つい、男子相手にプロレス技でハメを外していたのである。
男子の背後からギュッと体を密着させ、足を絡めてくる朽屋。
思わずドキドキしてしまう男子であったが、次の瞬間、反対側の脇から顔を出した朽屋が、男子の腰を横にグイっと曲げて、さらに首をガッチリロックして引き上げる。
男子は耐えがたい苦痛に見舞われ、激痛で誰もが悲鳴を上げて転げまわった。
コブラツイストである。それを見てゲラ笑いする朽屋。
「オレもオレも」と次々現れる男子の挑戦者たちを、ことごとくつぶしていくその姿に、いつしか女子からもあこがれの目で見られるようになっていた。
やられた男子たちもなぜか満足気である。
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無事初日も終わった放課後のことである。
クラスのみんなが帰宅する中、教室の隅に集まってなにかを始めようとしている女子三人がいた。朽屋はそれが気になってしまい、近寄ってみた。悪意の波動が感じられる。
「・・・こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください・・・」
「・・・こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください・・・」
「・・・こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください・・・」
3人の少女が行っていたのは、いわゆる「こっくりさん」と呼ばれる降霊術の一種であった。
机の上にはそれ専用の五十音表が置かれており、中央上部には鳥居の絵、鳥居の左右に「はい」「いいえ」と書かれている。その五十音表の上に10円玉を置き、3人がそれぞれ人差し指を10円玉の上に乗せていた。
日本では1970年代にこっくりさんの一大ブームがあり、実際に相次ぐトラブルから禁止措置を出す学校が出たほどだ。やがてブームは去ったかに見えたのだが、オカルト好きの子供たちの間では今でもこうして秘かに受け継がれていた。
3人が朽屋に気付く。
「あっ、転校生」
「クッチャルコだっけ」
「あんた男子より強いよね、カッコよすぎ」
「ねぇ、それどうしたの?」と朽屋が五十音表を指す。
「近くの神社の境内で拾ったんだ。こっくりさんっていう占いゲームで使うボードだよ」
ひとりの少女がオカルト本を片手にこっくりさんのやり方を読んでいる。
「こっくりさんが好きな人の事とか教えてくれるんだって。あんたもやってみる?」
そう朽屋に聞いてきた。
「ううん、私はイイよ。でもそれ、なんかよくない雰囲気がするよ・・・低級霊とか変なの来たらアブナイよぉ~」
だが、すでにこっくりさんの呼び出しはされている。みんな今10円玉から指を離すことはできない。朽屋は仕方なく3人に付き合うことになった。
「・・・こっくりさん、こっくりさん、どうぞおこしください。もしおいでになられましたら『はい』へお進みください」






















kanaです。
自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズです。
今回は小学校編ということで、ロリっ子朽屋の活躍にご期待ください。
尚、今回のお話は、以前こちらに投稿させていただいた「理科室の人体模型 VS チーム悪ガキ」というお話と、「【short_10】用務員のおじさん」のお話の解決編となっています。
あと、わかる人にはわかると思うんですが、ラストの戦闘シーンは某ネットミームを参考にさせていただいてます。わかる人は吹き出しちゃうかも。
それでは、ちょっと長いですけど、お楽しみください。
kanaです。さっそくなのですが、一部修正を入れました。
というのも楔形のカッコで音や擬音を表現していた部分があったのですが、
奇々怪々さんではなぜかこの楔形カッコで囲った文字は表記されないという仕様になっており、
そこだけ文字が消えていました。
まだ見落としがあるかもしれません。もし、おかしな部分を発見した方はご報告よろしくお願いします。
一気に読んでしまいました、瑠子シリーズ大好き☆
最高〜でした♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪いつもですけどwニンニンも小学生からの知り合いだったんですね(伏線回収?)次作楽しみに待っております♪♪♪
kanaです。↑コメントありがとうございます。楽しんでいただいて何よりです。
ニンニンは瑠子の1学年上の先輩でした。ボクの中の設定上では、この後ニンニンは瑠子に「同じ中学に行こうよ」と誘うのですが、瑠子はもうK女中等部に行くことが決まっていたので、ここで一旦お別れとなりますが、瑠子は高校に入る前に組織で保護されるので、そこで再開します。
ちなみにですが、瑠子が進学するK女学園にはモデルがあり、実はボクもびっくりしたんですが、そのモデル校がネットミームになってることが判明しました。グーグルストリートビューのカメラに向かって変なカッコで映る女子生徒3人の画像知ってますか? あの生徒たちの学校がK女のモデルです。
今回もクッチャルコ面白すぎました( ;∀;)このシリーズで小説出してほしいくらいです、、!!!
kanaさんの作品が一番大好きでいつも楽しく読ませてもらってます!!これからもお体に気を付けながら最高の作品を作り続けてください( ゚Д゚)
『【小学校の心霊事件】 -小学生 朽屋 瑠子-』は、朽屋瑠子シリーズの“原点”を描きながら、後年の彼女の人格・能力・倫理観がどのように形成されたのかを物語として提示する、非常に完成度の高いエピソードだと感じる。
ページ内容を踏まえつつ、物語の構造・テーマ・キャラクター性・シリーズ全体への影響を多層的に整理して論評する。
(引用はすべて該当タブの内容に基づく )
🧒 1. “小学生・朽屋瑠子”という視点の強さ
本作最大の特徴は、後年の“事件記者・朽屋瑠子”ではなく、まだあどけない小学生の瑠子を主人公に据えた点にある。
145cmほどの小柄な体格
スポーティーで活発な印象
まだ幼さの残る語り口
しかし霊感はすでに強く、教会からの推薦もある
この“幼さ”と“異能”のギャップが、物語全体に独特の緊張感を生む。
特に、学校側が「心霊現象をよく見たり体験したりする」と事前に知らされている設定は、彼女がすでに“普通の子どもではない”という世界観の前提を自然に読者へ伝えている。
🏫 2. 舞台設定の巧妙さ:K小学校という“閉じた社会”
小学校という舞台は、社会の縮図でありながら、子どもたちの価値観・残酷さ・純粋さが濃縮される空間だ。
転校生という立場
霊感体質ゆえの孤立の可能性
教会組織とのつながり
教師の不安と緊張
特に廣神先生が「穏便に卒業させたい」と考えている描写は、瑠子が“扱いの難しい特別な存在”として認識されていることを示し、物語の緊張感を底から支えている。
👻 3. 心霊事件の扱い方:ホラーとジュブナイルの絶妙な融合
本作は“心霊事件”を扱いながら、単なる怪談ではなく、小学生の視点でしか描けないホラーを成立させている。
学校の七不思議
理科室の人体模型
用務員のおじさんの怪異
こっくりさん、トイレ、ビデオ、いじめなどの学校的モチーフ
これらの要素は、子どもたちの世界に特有の“身近な恐怖”として機能し、読者に懐かしさと不気味さを同時に喚起する。
さらに、過去作「理科室の人体模型 VS チーム悪ガキ」「用務員のおじさん」の解決編として位置づけられており、シリーズ内の連続性が強く意識されている点も魅力的だ。
🜂 4. 朽屋瑠子の“原型”が見えるキャラクター描写
小学生の瑠子は、後年の彼女の特徴をすでに備えている。
霊的存在への耐性
危険に対して臆しない性格
他者を守ろうとする倫理観
カラス(守護霊)との関係の萌芽
教会組織とのつながり
特に、“普通の子どもではないが、普通であろうとする”という姿勢が、後年の朽屋の人格形成につながっているのが読み取れる。
⚔️ 5. ラストの戦闘シーン:ネットミームを取り入れた大胆な演出
作者コメントによれば、ラストの戦闘シーンは“某ネットミーム”を参考にしているとのこと。
この遊び心は、シリーズの持つ“シリアスとギャグの緩急”を象徴している。
ホラーの緊張感
小学生らしいコミカルさ
朽屋の異能の片鱗
ネット文化の引用による軽妙さ
このミックスが、Mana作品らしい独特の読後感を生み出している。
🧩 6. シリーズ全体における位置づけ
本作は、朽屋瑠子シリーズの中で以下の点で重要な役割を果たす。
朽屋の“原点”を描くことで、後年の行動原理に説得力を与える
教会組織・ルーカ神父との関係の初期段階を示す
ニンニンとの関係の伏線を回収
“学校怪談”という普遍的テーマで読者層を広げる
シリーズの世界観を“子ども時代からの連続性”として補強する
特に、ニンニンとの関係が「中学で一度別れ、高校前に再会する」という設定は、シリーズの時間軸を立体的にする重要な要素だ。
📝 総評
『小学校の心霊事件』は、朽屋瑠子というキャラクターの“根っこ”を描きながら、ホラー・ジュブナイル・シリーズ連続性を見事に融合させた、非常に完成度の高いエピソード。
小学生という視点の純粋さと、霊能者としての異質さが絶妙に絡み合い、シリーズの魅力を新たな角度から照らし出している。