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不思議体験

おばけさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ななつめの駅
長編 2025/03/27 22:50 1,493view

窓の外は、墨を垂らしたような闇。駅の明かりすら見えない。まるで電車ごと“異界”に取り込まれたようだった。

「ななつめのえき〜、ご乗車ありがとうございました」

アナウンスの声が変わっていた。機械的なものではなく、生身の人間のような、どこか女のような、老人のような、不気味な声。

その瞬間、照明がフッと消えた。

全身に鳥肌が立つ。暗闇の中で、何かが這う音が聞こえる。無数の足音が車内を包む。

そして、目の前に、顔のない乗客が立っていた。

「一緒に……降りましょう」

その手が、僕の腕を掴んだ瞬間──

意識が飛んだ。

目を覚ますと、自宅のベッドの上だった。

夢だったのか?

汗でTシャツがびっしょりだった。スマホを手に取ると、ロック画面に一件の通知。

【ご乗車ありがとうございました。】

え? SNSの通知? そう思って通知をタップしたが、画面は何も開かず、通知は消えた。

履歴を見ても、記録は残っていなかった。

夢……?

そう思いたかった。

でも、その日を境に、何かが少しずつ狂い始めた。

翌朝、会社に出社すると、妙にざわついた空気を感じた。

「加納、連絡つかないんだって」

加納──昨夜、僕と同じ電車に乗っていた同期。家に帰っておらず、スマホも不通。家族が警察に捜索願を出したという。

背中に冷たい汗が流れた。あの“ななつめの駅”と関係があるのでは……。でも、そんなことを言えるはずもない。

昼休み、そっと加納のデスクを見に行くと、上に白無地の封筒が置かれていた。中には、切符のような紙が一枚。

乗車駅の欄には何も書かれておらず、行き先だけがこう印字されていた。

『七人目』

僕は手が震えるのを必死でこらえた。

数日が経ち、平穏を装いながらも、心は限界に近づいていた。

あれが夢だとしても、あまりに生々しく、現実としか思えなかった。

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