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不思議体験

二十左衛門さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

かくれんぼ
長編 2022/05/14 21:15 30,068view
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これは僕が小学生の時に体験した不思議な話です。

よく僕とA君B君C君で遊んでいたと思うんですけど、どうしてもあと一人思い出せないんです。

当時、僕は普段から仲良くしていた三人と学校の教室で休み時間にゲームの話とかして盛り上がっていると、見覚えのない同年代の男の子、仮にD君として、D君が僕達の輪に話しかけてきました。

「そのゲーム、ボクも知ってるよ」

今でこそ顔を思い出せませんが、恐らく子供らしい無邪気な笑顔を浮かべていたと思います。
D君の切り出しから僕たちは自然と打ち解けて、知り合って三日も立たずに旧知の仲の如く語らい、放課後もよく運動場や公園なんかでサッカーをして、僕の家でゲームをしたりしました。

僕達の中にD君が入って計5人となった凡そ一週間後、

「今度の休みボクの家に来ない?親が出かけるから一人で留守番なんだ」

と誘われたので、僕達は二つ返事で了承して、何を持って行き何をして遊ぶかの話で盛り上がっていました。

休日、僕はA君達を伴い最寄りの公園に到着すると、既に待ち合わせ場所に居たD君がブランコに乗って一人遊んでいるところを見かけたので、景気よく声を掛けました。

「お待たせ」
「ボクも今来たとこ。じゃ、ボクの家いこっか」

D君が降りた無人のブランコが揺れ動くのを見送り、僕達はD君に続くように公園を出ていきます。

D君の家に到着すれば、何というか随分と古臭い古風な木造住宅で、僕は夏休みに訪れる祖父母の家を思い出しながら呆気に取られてしまいました。
ただ、言うほど古臭い訳でもなく、周囲を見渡せばちらほらと似たような日本家屋が建っていることから、恐らくD君の両親は随分前からこの土地で暮らしているんだろうと納得し、引き戸を開けて笑顔で招き入れてくれるD君に従いお邪魔します。

「D君家、結構古いな」
「すげえ、床が鳴るよ」

A君達が廊下の軋みを物珍しそうに踏みしめてそれぞれ言いたいことを言っていたので、僕はD君が嫌な気持ちになったんじゃないかと思い、少し身を引き締めて一瞥してみるものの、思いの外あっけらかんとした態度で半笑いしながら「夜中に歩くとマジで怖いよ」と同調していたので少し安心しました。

縁側を通り客間に案内されると、ブラウン管テレビの置かれた和室に入るなり僕は奇妙な視線を感じて淡い市松模様の襖へ振り向き固まってしまったのです。

「どうしたの?」

立ち止まった僕の後ろからD君が話しかけてきたので、僕は「何でもない」と用意された座布団に座り、飲み物とお菓子を取りに客間を出ていくD君の後ろ姿を見送りました。

「何かばあちゃん家みたいで落ち着くわ」
「俺も俺も。じいちゃん家こんな感じ」
「お!スマ〇ラあるじゃん!」

僕が未だ襖の方に警戒心を抱いている端で、A君達がそれぞれ和室を満喫し、テレビ台の中に納められたゲーム機を発見するなり気兼ねなく取り出して勝手に起動し始めます。
流石に余所様の家で失礼だろうとは思ったものの、ちょうどお盆を携えたD君が戻ってくるなり「見つかったか」と苦笑しながら人数分のコップを配布したので、僕も手伝いながら一応勝手にゲーム機を取り出した事を謝罪しました。

恐らく3時間くらいゲームをしながらジュースやお菓子をつまみ、時には雑談を交えながら遊び尽くすと、A君が、

「ふいー、ちょっとトイレ。D君、トイレ貸して」

とコントローラを畳みに置くともじもじと立ち上がり、D君に案内される形で客間を飛び出します。
残された僕とB君C君の三人は、一先ず食べ散らかしたスナック菓子の袋や食べかすを誰に言われるまでもなく片付け始めたのですが、ふとB君が例の襖の前で立ち止まり、カカシのように微動だにしない事に気づいたのです。

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コメント(2)
  • 結局なんだったんだ…不気味だ

    2022/05/17/10:13
  • 顔が思い出せないなんて・・・・
    ためはち

    2022/05/19/07:25

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