そして、また同じ時間、同じ路線に乗る日がやってきた。
乗りたくなかった。けれど、どこか“呼ばれている”ような気がして、足が勝手に電車へ向かっていた。
電車がホームに滑り込む。まるで前回と同じ光景。
乗り込んだ瞬間、あの匂いが鼻をついた。鉄と埃、そして……古い木造家屋のような、乾いた空気。
乗客は誰もいなかった。車内は無人。いや──鏡越しに、後ろの席に誰かが座っているのが見えた。
僕はゆっくりと歩き、振り返った。
……誰もいなかった。
ただ、そこにポツンと、あの切符と同じ紙が置いてあった。
『七人目』とだけ書かれた紙を見つめながら、僕は思った。
あの夜、加納は“降りて”しまったのかもしれない。
僕は“乗ったまま”だった。
それが、何を意味するのかは、今もはっきりとはわからない。
でも、今もこうして日常を送れている以上──この話を誰かに伝えなければならない気がした。
もしあなたが、深夜の電車で見知らぬ駅名のアナウンスを聞いたら──決して、顔を上げないでください。
“七人目”になるかどうかは、そのときのあなたの行動で決まるのかもしれません。
そして願わくば、あなたがこの話を「ただの作り話」だと思っていてくれることを、心の底から祈っています。
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