いつものように目が覚めると、見慣れた天井がそこにあった。昨夜見た悪夢の残滓が、まだ頭の隅に残っている。夢の中で私は、終わりのない廊下をただひたすらに走り続けていた。
(今日もまた、同じ一日が始まるのか…)
そう思うと、体の奥底からじわじわと嫌な汗が滲み出てくるのを感じた。
朝食のパンを口に詰め込み、いつもの時間に家を出る。通い慣れた道を歩き、毎日利用する駅へと向かう。電車に揺られ、見慣れた景色を眺めていると、ふと、あることに気がついた。
(今日の服、昨日と全く同じだ…)
昨日も、その前も、私はいつも同じ服を着ていた。まるで制服のように。
(まさか…)
背筋がゾッとした。周囲を見渡すと、他の乗客たちも皆、同じ服を着ている。表情はどこか抜け落ちていて、まるで生きた人形のようだ。
(これは、一体…?)
恐怖で心臓が早鐘のように鳴り響く。駅に着き、会社へと向かう。オフィスに入ると、同僚たちがいつもと変わらない様子で働いていた。しかし、彼らの顔もまた、どこか生気を失っている。
(一体、何が起こっているんだ…?)
私は自分の席に座り、パソコンに向かった。しかし、画面に映る文字は全て意味不明な記号に変わっていた。
(これは、現実なのか…?)
混乱と恐怖で頭が真っ白になる。その時、ふと、机の上に置かれたカレンダーが目に入った。そこには、同じ日付が何度も何度も記されていた。
(繰り返す日常…)
悪夢で見た終わりのない廊下が、脳裏に蘇る。私は立ち上がり、オフィスを飛び出した。廊下を走り、階段を駆け下りる。しかし、どこへ行っても、同じ景色が広がっている。
(逃げられない…)
絶望が全身を包み込む。その時、背後から何者かの気配を感じた。ゆっくりと振り返ると、そこには…
(…私?)
そこに立っていたのは、私と全く同じ姿をした、しかし、表情のない、抜け殻のような存在だった。
「あなたは、もうすぐ私たちと同じになる」
その声は、まるで機械のように無機質だった。
(私たち…?)
周囲を見渡すと、そこには無数の「私」が立っていた。彼らは皆、同じ服を着て、同じ表情で、私を見つめている。
(私は、一体…?)
恐怖で声も出ない。その時、「私」たちは一斉に私に向かって歩き始めた。
(嫌だ…)
私は逃げようとした。しかし、足は鉛のように重く、一歩も動かない。
(助けて…)
心の中で叫んだ。しかし、その声は誰にも届かない。
夢?現実?
語り主:想像に任せます(o^―^o)ニコ