陽キャなドッペルゲンガー

そう言って電話が切れた。
いや待て待て待て・・・アキ同棲してんの！？俺・・・の偽物と・・・！！！？？？

何が起こってるのか分からないが、「ふざけんなよ陽キャが！！！」と強く思った。
６月２０日・・・明後日か。おそらくそこに俺の偽物が来る。
一発ぶん殴ってやろう・・・例えそれがドッペルゲンガーだったとしても。

６月19日の朝、ドアチャイムが鳴った。出てみるとアパートの大家さんだった。

俺「おはようございます。どうしたんですか？」
大家さん「おはよう。どうしたって・・・あんた明日退去日だけど・・・大丈夫？」
俺「！！！？？」
大家さん「いやいや新しいアパート見つけたんでしょ？彼女が出来たから引っ越しますって電話で言ってたじゃない？」

迂闊だった・・・電話もＳＮＳも偽物の手に渡っているのだから、こうなる事も予測できたはずなのに・・・。

大家さん「あんた荷物まだ全然残ってるじゃない！明日の朝10時には部屋明け渡してよ？」
俺「・・・・・」
大家さん「ねぇ聞いてんの！？」
俺「・・・・！！ええ！聞いてます聞いてます！！」
大家さん「ちゃんと伝えたからね！！」

そう言って俺の部屋を後にした。
荷物残ってるに決まってるじゃん・・・俺に引っ越す予定は無いんだから。
そして俺はここで大事なことに気が付いた。

俺「・・・・・銀行口座！！！」

「偽物の俺」が新しい家に住めたってことは、口座の登録が出来たって事・・・つまりそれは、「本物の俺」が口座を使えなくなっている可能性が高い。
急いでコンビニに行き、キャッシュカードを入れて暗証番号を入力・・・。

「このカードはお取り扱い出来ません」と言って戻って来た。

俺「やっぱりか・・・どうしよう・・・」

財布の中には1万500円しかなく、クレジットカード類は全滅。
しかも明日には住むところが無くなるというヤバい状況だ。
今スマホを見たら「圏外」になっている・・・確実に詰みに近づいて行ってる。

成すすべなくアパートに戻り考えた。
「どうすれば良いのか」「俺はどうなるのか」
考えた所で答えは出ないが・・・1つの「可能性」が頭を過った。