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都市伝説

イモ大学259期生さんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

記子(しるこ)さんとの交換日記
長編 2026/10/21 23:54 70view

昼休みの日差しが差し込む図書室は、いつも独特の静けさに包まれていた。
私とA、B、Cの4人は、いつものように開架スペースの奥にある丸テーブルに集まっていた。中学校に入学して半年。クラスは違っても、放課後になればこうして集まる仲良しグループだ。

「ねえ、これ何だろう?」
借りる本を選んでいた私がふと手を止めたのは、文庫本の棚と棚の間に、ぽつんと挟まれていた1冊のノートを見つけたからだった。
少し色あせた、深い紺色の大学ノート。——だが、どこか不気味だった。表紙の端や背表紙のあたりが、まるで激しい火に晒されたかのように、ところどころ黒く焼け焦げているのだ。
表紙を開くと、焦げた匂いがかすかに鼻をついた。そこには、少し丸みを帯びた古い字で、こうだけ書かれていた。

『交換日記』

「うわ、なにそれ! ちょっと見せて」
一番に食いついてきたのはAだった。ノートを手にとり、ぱらぱらとページをめくったAが、ハッとしたように目を見開く。

「あ……これ、もしかして。先輩たちが話してたやつかな!?」
「先輩たちの話って?」
BとCも興味津々で覗き込んでくる。Aは少し声を潜め、自慢げに語り始めた。
「『記子(しるこ)さんの交換日記』だよ。」
「え?しるこ?あんこの?」
「違うよ、日記の“記”に子どもの“子”で、記子(しるこ)。うちの学校の七不思議みたいなやつで、図書室の本棚に時々現れるノートを持ち出してメッセージを書くと、『記子さん』っていう女の子が返事をくれるんだって」

Aの話によると、この日記には絶対に守らなければいけないルールがあるらしい。

ルール①:記子さんからのメッセージには必ず返事を返すこと
ルール②:記子さんが書いたページには、落書きしてはいけない

ルール③:記子さんのノートには、悪口を書いてはいけない(日記に関わらない人物のことも含めて)
ルール④:記子さんのノートを絶対に無くさない。捨てるのも燃やすのもダメ
ルール⑤:ルールを破ったら、必ず罰を受けること

「えー、都市伝説でしょ? 誰かがイタズラで返事書いてるだけじゃないの?」
Bが半分あきれたように笑う。けれどAは「試してみようよ!」と目を輝かせると、そのノートを図書室からこっそり持ち出すことにした。
教室に戻ったAは、焦げ跡を避けるようにしてノートの1ページ目に文字を書き走らせた。
『初めまして、記子さん。私たちと交換日記しましょう!』

「……ねえ、本当に書かれてる」
1時間後、ノートを開いた私たちは息をのんだ。
Aが書いたメッセージのすぐ下に、見たこともない綺麗な丸文字で、返信が書かれていたのだ。クラスの誰の筆跡とも違う、どこか昭和の少女のような、少し懐かしい字。

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