鳴り続ける、サイレン
投稿者:たち (18)
友人の表情は暗いままで、うつむき、何かを考えているような感じでした。
「行ったよ。お経が流れる直前に放送室に。そして、お経が流れた時にドア越しで聞いてたんだ。でも…」
「でも?何?」と私は聞き返し、
「でも、放送室からは何も聞こえてこなかったらしい。外ではお経が防災無線で流れてる最中なのに…」
私は「何も聞こえなかった?誰もいなかったってこと?録音してるのを流してもいなかったの?」と恐る恐る聞きました。
静かに友人は頷きました。
私は理解できず、どういうことだ?本当は誰かいたけど気づかなかった?別の場所から放送してた?とかいろいろと考えました。
すると、友人は、
「それから、そいつは学校に来なくなって引きこもりになったんだ。で、11月に亡くなった。」
「亡くなった?えっ?なんで?」
と聞きましたが友人は答えてきませんでした。
無言のまま、時間が過ぎていきました。
友人が、
「その件があってから、風習のことを追求することはしなくなったんだ。考えないようにしてる。
町を出て、あのお経を聞かなくなってホッとしてるよ。」
「そうだな。
そんな、不気味な風習無くなればいいのにな…」
と何気なく言いました。
友人は、
「なぁ、無くなればいいのに…けれど、無くならないんだよな。
どこから流れてるか
何故、放送されてるのか、
防災無線のことを知ってる人達は毎年怖くないのか、
この風習を無くすようにするにはどうすればいいのか、
この先も解明されないままなのかな…」
と願うような感じで呟いていました。
今年も8月になり、盆入りが近づいてきました。
この時期になると、謎の風習のことを思い出します。
電鉄富山駅で電波が混線して電車ホームに近くの葬儀場の読経が流れてしまったことがある
どこかのお寺で新盆を迎えた故人の供養に名前を呼びながらマイク使って上げてるお経が、役場の防災無線と混線してるんでは