麗子はオカルトマニアの中学生だ。そんな彼女は最近、あることにはまっている。
人に呪いを掛けることだ。本で見つけた適当な呪いを、どうでもいいクラスメイトに掛けていたのだが、案の定、呪いにかかった人間は現れなかった。
面白半分だったこともあり、さほど気にしていなかったのだが、気にしなくていはいけない事態になってしまう。
何故か最近体調が悪いのだ。最初は、風邪や気圧のせいだろうと軽く思っていたが、一向に良くならず、日を追う毎に悪くなっていった。心配した両親は病院に連れていくが、身体に異常が見つからない。
そんな状況に立たされ、彼女は自分が呪われているのではないかと考えるようになった。そこで、呪い返しを行うことにした。
用意するのは鏡だけで、彼女が今まで行ってきた儀式とは比にならないほど簡素なものでこんなの意味あるのかと内心思っていたが、その翌日から体調が良くなった。
そんなことがあり、彼女は毎日丁寧に鏡を拭いていた。「いつもありがとう。」と声をかけながら。
この呪い返しの儀には一つ続けなければいけないルールがあった。「鏡を毎日磨くこと」たったそれだけだ。
麗子は勿論ルールを守って毎日鏡を磨いていた。その姿をある日母親にみられてしまう。麗子は母に「何故、鏡を磨いているの?」と、聞かれて咄嗟に「綺麗にした方がいいでしょう」と嘘をついた。
母は、感激し「うちの子はなんて健気なの」と、頭を撫でてくれた。麗子は、その日以来より一層鏡を綺麗に磨くようになった。
鏡を磨くようになってから、良いことが起こるようになった。テストでは、今までは平均点がやっとだったのに、何故か感でテストの問題が当てれるようになり、90点を余裕で取れるようになった。クラスメイトからも「麗子ちゃんすごーい!」とちやほやされるようになった。
彼氏も出来て、家に呼んだときには鏡が綺麗だと褒められ、より仲が深くなった。
そんなある日、麗子の祖母が亡くなり帰省することになった。そのときも鏡を持ってきていたのだが、流石に葬儀場には持っていけないと、祖母の家に置いておくことになった。
葬儀中、そわそわする麗子を見た母が「麗子、トイレ?」と聞いたが、麗子は「鏡、私の鏡」とブツブツ呟いていた。その様子は何かに取り憑かれていたようにおかしいので、その日のうちに母親は鏡を粗大ゴミとして出してしまった。
しかし、朝起きるといつものように鏡を磨く麗子の姿が目に入った。「麗子、鏡どうしたの?」と聞くが、キョトンとした様子でまた鏡に向き直ってしまった。
今度は、お寺に鏡を供養して貰おうと数日後、麗子が学校に行っている隙に母は車に乗せて高速道路にでた。しかし、対向車線から蒙スピードでやって来た車にぶつかり、計画は叶わなかった。
その後も、鏡を棄てようとすると邪魔が入り鏡を手放すことは出来なかった。
そんなある日、麗子は「ねぇ、お母さん鏡最近棄てようとしてない?」と聞いてきた。その様子はやはりどこか異様で母には麗子ではないと思えた。
鏡を棄てようとしているのを何故麗子が知っているのか、そのことに気づいたときには反射的に鏡を割っていた。
「ギャー!!」そう叫んだかと思えば、白目を向き後ろに倒れてしまった。
慌てて、救急車を呼び搬送したが麗子の意識は戻らなかった。
入院する麗子に母は、後悔をしていた。麗子と似た自分の泣き顔をまじまじと見つめながら、麗子が目を覚ますのを今日も待ち続けている。
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