埋まっていたおじさん
投稿者:ねこじろう (155)
長編
2024/09/22
04:22
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「一人でここにこうして埋まっとったらな、いろんなものが見えたり、いろんな音が聞こえてきたりするんや。
朝方木々の狭間から差し込んでくる優しい光とか、木の葉がパラパラ散っていく様とか、鳥たちやヒグラシの鳴き声とか。
それとな、たまにデカイ動物とかも来たりするんやで!」
「え!ほんとに!?例えば、どんな?」
「この間なんかな、近くでガサガサ音がするから、何やろ?と見たら、イノシシの親子連れや。
わし、こんな近くでイノシシ見たの初めてでな、びっくりしたわ」
そう言っておじさんは目をパチクリとさせた。
「ふーん。だったら、一人でも平気だね」
「まあ、基本そうなんやけど、
たまーに、人恋しくなったりするんやけどな」
と言って、おじさんは少し寂しげな顔をした。
「大丈夫、大丈夫。
そんなときは今日みたいに呼んでくれたら、僕、来るから」
僕はおじさんの顔を見て、にっこり微笑むと、
「ほんまか!?約束やで。」
と真剣な顔で言う。
そして僕は、「おじさん、じゃあ、行くね」と言って立ち上がりランドセルを背負うと、お尻の泥を払った。
「ありがとうな。暇になったら、また遊びに来てよ」
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面白かったです!
早速のコメントありがとうございます。
━ねこじろう
組の人に見つかって埋められちゃったのかと思いきやまさかの人面植物への転生、ぜひもう一度埋め直して養生してあげて欲しい。
なるほど、それも面白いですね
━ねこじろう
さい後におじさんの首から下は根っこだと言うことが、とても怖くてトラウマになりました。
主人公の無垢な少年が、このおじさんにとんでもない約束をした場面でヒヤリとしました。また、この植物になりかけていたおじさん(パンを食べるから、まだ人間の部分が残っているのかな?)を見ちゃった少年のおじいちゃんのことも、心配になりました。(お年を召しているという意味で)