埋まっていたおじさん
投稿者:ねこじろう (154)
長編
2024/09/22
04:22
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「……ふ~ん」
「けどたまに、無性に何か食べたくなるときはあるわな」
僕はランドセルをおろし、今日の給食の残りのパンを出してちぎると、おじさんの口元にもっていく。
おじさんは池の鯉のようにパクリと食い付き、ムシャムシャと食べる。
あっという間に一枚なくなった。
「坊や、ありがとうな。
パンとか食ったのは久しぶりや」
おじさんは嬉しそうに言った。
僕はハンカチでおじさんの顔を拭いてやった。
※※※※※※※※※※
見上げると、枝の間から射し込んでくる光がかなり弱くなってきているようだ。
「なあ、もうそろそろ帰った方がええんちゃうか。
この辺、今から真っ暗になるでえ」
とおじさんは心配そうな顔で僕を見る。
「おじさんは、こんなところで一人で平気なの?」
「わしか?わしはもう長いこと、ここでこうしてるから、もう慣れっこや。
それと、まあ、ここはここで、それなりに楽しいこともあるしな」
「楽しい事って?」
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面白かったです!
早速のコメントありがとうございます。
━ねこじろう
組の人に見つかって埋められちゃったのかと思いきやまさかの人面植物への転生、ぜひもう一度埋め直して養生してあげて欲しい。
なるほど、それも面白いですね
━ねこじろう
さい後におじさんの首から下は根っこだと言うことが、とても怖くてトラウマになりました。
主人公の無垢な少年が、このおじさんにとんでもない約束をした場面でヒヤリとしました。また、この植物になりかけていたおじさん(パンを食べるから、まだ人間の部分が残っているのかな?)を見ちゃった少年のおじいちゃんのことも、心配になりました。(お年を召しているという意味で)