目覚めてすぐに夢を思い出し、そら恐ろしくなり、私はつい叫んでしまった。
すると家人が慌てた声で近くに寄ってきた。
「大丈夫!?」
私は頷く。
念のため、我が身にあざや怪我等の異常がないか確認する。
どうやら特に変わったところはないようだ。
「良かった〜。せっかく早く起きたんだし、近所に散歩にでも行こうか?」
朝の涼しく清涼な空気に、ほんのり雨上がりの香り
私はこんな清らかな朝が好きだ。
そして、近所の公園を通ったときだ。
砂場に目が行く
こんもり砂のお山が築かれ、なにやら木札が刺さっている。
何か書いてあったが、私には読めない字であった。
家人は訝しんだ顔をしている。
私は家人を引っ張り、すぐに公園の外に出た。
水溜りが点々と続く歩道を、私は脚が汚れないように気をつけて歩いた。
「しっかし、『ひとのおはか』なんて、気持ちわるいなー。 なあ、クロ」
「わん!!」
家人がなにやら言うが、彼の言葉はわからない
あの砂場が何故か気になるが、そんなことはどうでも良い。
爽やかな朝の散歩、家人との散歩
いま、この瞬間ほど大切なことはないのだ。
……雨上がりの朝、濡れた歩道に、朝焼けが仲の良い飼い主と犬の影をうつした。
街路樹の桜の木の枝には、蕾みが萌えはじめている。
もうすぐ春がくるのだ。
「かえったらさー、ご飯にするからなー」
「わん!!」
「元気良いなー、ところでさー」
家人は私をだっこした。
家人は微笑み、私の耳に口元をよせる
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