いぬのおはか
投稿者:バクシマ (40)
目覚めてすぐに夢を思い出し、そら恐ろしくなり、私はつい叫んでしまった。
すると家人が慌てた声で近くに寄ってきた。
「大丈夫!?」
私は頷く。
念のため、我が身にあざや怪我等の異常がないか確認する。
どうやら特に変わったところはないようだ。
「良かった〜。せっかく早く起きたんだし、近所に散歩にでも行こうか?」
朝の涼しく清涼な空気に、ほんのり雨上がりの香り
私はこんな清らかな朝が好きだ。
そして、近所の公園を通ったときだ。
砂場に目が行く
こんもり砂のお山が築かれ、なにやら木札が刺さっている。
何か書いてあったが、私には読めない字であった。
家人は訝しんだ顔をしている。
私は家人を引っ張り、すぐに公園の外に出た。
水溜りが点々と続く歩道を、私は脚が汚れないように気をつけて歩いた。
「しっかし、『ひとのおはか』なんて、気持ちわるいなー。 なあ、クロ」
「わん!!」
家人がなにやら言うが、彼の言葉はわからない
あの砂場が何故か気になるが、そんなことはどうでも良い。
爽やかな朝の散歩、家人との散歩
いま、この瞬間ほど大切なことはないのだ。
……雨上がりの朝、濡れた歩道に、朝焼けが仲の良い飼い主と犬の影をうつした。
街路樹の桜の木の枝には、蕾みが萌えはじめている。
もうすぐ春がくるのだ。
「かえったらさー、ご飯にするからなー」
「わん!!」
「元気良いなー、ところでさー」
家人は私をだっこした。
家人は微笑み、私の耳に口元をよせる
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