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心霊

バクシマさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

僕は笑ってないよ
長編 2024/02/06 23:54 6,234view
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大学二年生のときだ。

僕には、頭のおかしい友人がいた。

これは、その友人の趣味にまつわる話である。

「なあ、今晩、俺の趣味に付き合わないか?」

夏の蒸し暑い大学の講堂で、頭のおかしい友人は僕に声をかけた。僕も暇な大学生、二つ返事で承知した。

そして承知してから

「それで、どこいくの? そして何をやるの?」

などと、至極当然の問いを投げかけたが

「まぁ、いいからいいから。行ってからのお楽しみだ」

などと、漫画みたいな台詞ではぐらかされた。そしてその日の晩のこと……僕は大してワクワクもせず、友人の運転する車(生意気にもミニクーパー)に乗っていた。

何時間走ったのだろう。車はとある県境付近の峠にあるトンネル前に止まった。

時刻は午前二時ごろ、丑の刻。僕達以外の人や車の気配はなく、おそろしく静かであった。

(ああ〜そういうやつか。心霊系ね。まあ今は夏だし僕も大学生だし。人生で1度くらいこういう心霊探訪?ってやつをやってもいいかもな。それにしても、いかにもコイツらしい趣味だなあ)

車を降りながら、僕はひそかにそんな事を考えていた。

「ああー、待て待て。まだ降りるな。このトンネルは車に乗って進むんだよ」

友人は僕をたしなめた。お前は蕎麦の食い方にうるさい食通か。

僕は改めてシートベルトを締め直した。

そして、友人は車をトンネルの中へ進めていった。

やがて百メートル程進んだところで、車は停止した。

そして、おもむろに友人はクラクションを数回鳴らした。

クラクションの音がトンネル内に鳴り響く。

そしてまた静寂……何も起こらない。僕は拍子抜けした。

しかし、友人はジッと前を見据えている。

表情からは感情は読み取れない。

だが、しばらくして友人は名残惜しげに車を発進させようとする。その瞬間……

バンバン!!バンバン!!

突然、けたたましく窓ガラスが叩かれた。

音の方を振り向けば、警備員の格好をした血まみれの中年男性が笑いながら窓ガラスを手のひらで叩いている。

僕はパニックになり、すぐに友人に車を発進させるように叫んだが、友人は涼しげな表情をしている。

十数秒くらいだろうか。恐怖の時間を過ごした後に車は発進された。

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