これは、昔住んでいた賃貸マンションで体験した話です。
築年数の古い二階の部屋でした。
住み始めて数日ほど経ったある夜、眠りにつこうとすると、どこからともなく妙な音が聞こえてきました。
「ふしゅー……ふしゅー……」
風の音とも違う。
エアコンでも換気扇でもない。
まるで誰かが、細い筒をくわえたまま呼吸しているような音でした。
最初は気のせいだと思っていました。
ですが、その音は毎晩のように聞こえてきます。
決まって深夜。
静まり返った部屋に、規則正しく響く「ふしゅー……ふしゅー……」。
気味は悪かったものの、生活に支障が出るほどではなく、そのうち慣れてしまいました。
ある日の昼間、近所の子どもがラップの芯を口にくわえて遊んでいました。
「もしもしー!」
筒を通したくぐもった声と、そのとき漏れた呼吸音。
「ふしゅー……ふしゅー……」
その瞬間、背筋がゾッとしました。
「ああ、この音だ。」
夜な夜な聞こえていた音と、まったく同じだったんです。
正体が分かった気がして、少し安心しました。
「誰かがいたずらでもしているのかな。」
そう思った、その日の夜でした。
いつもの時間になると、また音が聞こえ始めました。
「ふしゅー……ふしゅー……」
ですが、その日は違いました。
「ごひゅっ!!」
思わず体が固まりました。
「ごほっ!! ごぼっ!!」
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