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心霊

Mineさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

12年越しのサイコパス診断テスト
長編 2023/10/22 01:02 19,650view
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「それは……ハルカに、サイコパスって思われるのが、嫌だったから…。」

『残念。不正解。』

無感動な声が響く。

そうか。俺の本心なんてお見通しで。
嘘を付いても、取り繕っても、無駄ってわけか。

溜息が出る。

なら、言ってやるよ。全部包み隠さず。

「ああ、そうだよ!不正解だよ!…俺は、本当は、ずっとハルカに話しかけて欲しかったんだよ!俺が答えを言ったら、もうそれで終わりだろ?それが…怖かったんだ。」

初めて同じクラスになった5年生の時からずっと気になってたんだ。気付けば目で追っていたんだ。けど接点がないからなかなか話かけられなくて、だから小6のあの日に2人で廊下を掃除する事になった時は本当に、マジで、嬉しかったんだ。

ハルカがいなくなってからずっと忘れようと努力してたのに何で、今頃…!

「俺は、好きだったんだよ。ハルカが。」

声を震わせ、言葉を絞り出す。

前兆も音もなく、蜃気楼の様にハルカがスマホを握りしめている俺の前に現れた。

あの頃と何一つ変わらない姿で。

一歩近づき、しゃがみ込んで正面から俺の顔を見据える。

「ありがとう。……ずっとそれが聞きたかったんだ。ユキトの頭から私が完全に消えちゃう前に。」

頬から伝い落ちた涙が手の甲で弾ける。

日向の雪溜まりのように、心に長らく蟠っていた物がゆっくり溶けていく。

「私も、好きだったよ。話が出来て、嬉しかった。……それだけ!」

最後に1度はにかんで—–

そして現れた時と同じように一瞬で、ハルカは俺の前から姿を消した。

いつ以来だろう。こんなに感情を掻き乱されて、どうしようもなくなったのは。
まさか、24にもなって。

あれからハルカからの非通知の電話は二度と来なかった。

ハルカを忘れられる日は、まだ来そうにない。

5/5
コメント(13)
  • 短編に纏めようと四苦八苦しましたがダメでした。(Mine)

    2023/10/22/01:11
  • あはは、わかりますよ。タイトル見た時短編かな?と思ったのにけっこう長かったので苦労したのかな?と思いました。

    2023/10/22/12:57
  • なんかこう、感動的なBGMを付けたくなるようなラストでしたね。

    2023/10/22/13:01
  • この作者さんやるねぇ
    久々に見る良い作品だ

    2023/10/23/09:18
  • 何だかジーンときて涙してしまいました。
    良いお話でした。

    2023/10/24/02:36
  • いいの読ませてもらった

    2023/10/26/00:13
  • 凄く良い。

    2023/10/26/02:47
  • 良きかな良きかな人の愛は哀しくも美しい

    2023/10/27/11:23
  • 目頭が熱くなりました
    きっと今後も見守ってくれていますよ
    今後の作者さまに幸多からんことを

    2023/10/27/13:27
  • 主人公は結局サイコパスかーい!というツッコミを掻っ攫ってくラスト、ええで

    2023/10/28/17:47
  • 表面的には感動なんだが。。
    化けて出るなら死んでもっと近い日付で対応出来なかったんかな。
    それなら子供の記憶って事に出来るし。
    24で出られたら気持ち悪くて次の恋にも行けないし。
    この女が結婚してくれる訳でもないんだろ?
    人生潰されてるような

    2023/11/13/12:48
  • こういうお話は いいですね。。怖い話でも、やはり魂と魂の 温もりのある交流があるお話の方が、後々まで心に残ります。
     またMine さんは、怖い話を通して、大抵 何か問題提起をされる方だと思います。今回は私の勘ぐりに過ぎないかも知れませんが、サイコパスというテーマを持って来られた様な気がしてなりません。私は、サイコパスも ある意味、弱者なのではないかなと思うのです。そういう脳を持って生まれて来たばっかりに、人を傷つけては受刑する…今の世に生まれて来たばかりに…何百年か何千年か先の世なら、また状況が違うかも知れないのに。。
     私がMine さんのお話に関心を持つ様になったのは、ある朗読者さんが、Mine さんのお話を よく朗読するからです(^_^)
     いつも厳しい事もコメントさせて頂き申し訳ないのですが、今回も(^_^)「この一言がなかったらなぁ」と思った事が1つだけ ありましたので、ご参考までに書かせて下さい。
     それは「“つまらない”事故」という言葉です。くも膜下出血は、もちろん頭を強く打つ事によって起こる場合(外傷性くも膜下出血)もあります。ただ、それは稀で、余程の事がない限り、死 にまで至る事はない様でして、また、外傷性の場合、死因を、くも膜下出血か、脳挫傷か特定するのは、MRI でも CTでも非常に難しいそうです。
     くも膜下出血では、8割~9割が脳動脈瘤の破裂による出血だそうです。つまり、くも膜下出血が先で、その為に意識を失うから倒れる、というのが一般的な順序だと思います。だから、このお話でも 私は「あ、くも膜下出血を起こしたから、意識を失って階段から足をすべらせたんだな」と最初は理解しました。
     ですから終わりの方で「つまらない事故」という言葉を聞いた時に愕然としました。仮に、不注意で足をすべらせた事が原因で、外傷性くも膜下出血という診断が下ったとしても、「くも膜下出血」という病気は、数ある病気の中でも、致死率が非常に高いトップクラスの重い病気です。決して“つまらない”ものではありません。
     実際 私は、母と 伯父(母の兄)を(脳動脈瘤の破裂による)くも膜下出血で亡くしていますし、従兄も同じ病気で 2回倒れています。
     また去年 亡くなった、私の別の叔父は、突然かなり派手な脳出血で倒れ、かなり評判の良い脳外科へ運んで頂きましたが、出血の範囲が広く、くも膜下出血の様な内因性のものか、打ち身による外傷性のものか、よく分からないとの事でした。

     これは誰にも言える事ですが、文章を朗読で聴くと特に、あれ?と気付く事が多くなります(^^;。。だから、なるべく一般的な順序を選んだ方が無難ではないかなと思った次第です。。

    2024/05/28/00:40
  • 怖いに投票はしたけれど怖いって言ったら申し訳ないほどの甘酸っぱくせつない初恋の話ですね。主人公にエールを送りたくなりました。

    2024/10/05/19:20

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