おかけになった電話番号は
投稿者:Mine (25)
Nさんには付き合って3年目になる2つ下の彼女がいた。
とびきりの美人ではないが、趣味が共通している事や、仕事が上手くいかなかった時も健気に愛嬌のある笑顔を見せて支えてくれるその姿勢にNさんは惹かれていた。
ある日の事、Nさんは会社の飲み会でたまたま隣の席だった女性と懇意になり、そのまま関係を持ち始めた。
浮気という後ろめたさはあったが、特にルックスがNさんの好みにピッタリだったその女性と毎日のように夜の街に繰り出し、愛情を深め合う日々が続く。
しかし、いつまでもこんな二股をかける生活が続く訳がないとNさんは腹を括り、彼女に浮気がバレる前に自ら別れを告げようと決心した。
休日に馴染みのレストランに彼女を誘う。
彼の浮気を微塵も疑っていない様子の彼女は楽しそうにメニューを見ている。
料理が運ばれ、他愛もない話をしながらの食事も終わりに差し掛かった頃、いよいよNさんは切り出した。
「なあ、大事な話があるんだ。…俺と別れて欲しい。」
かねてより二股をしていた事実は伏せ、他に好きな人が出来た事を伝える。
寝耳に水といった様子で彼女はキョトンとしていたがやがて目に涙が溢れ、手で顔を覆った。
「俺が最低なのは分かってる!この通りだ!」
Nさんはテーブルに両手を付いて頭を下げるも、彼女は顔を覆ったままかぶりを振るばかり。
いくらNさんが説得してもしくしくと泣き続ける彼女には埒が開かないと思い、Nさんはテーブルに2人分の食事代を置き、そのまま1人で店を出た。
その夜。
Nさんはまだ彼女に対する後ろめたさが残っていて、ちゃんと話をしようと彼女に電話をかけた。
プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル………
“おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめの上、もう一度おかけ直し下さい…”
Nさんは電話を切った。
おかしいな、番号は合ってるはずだ。
再度かけ直す。
プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル………
“おかけになった電話番号は現在…”
また同じだ。
そもそもコール音は鳴ってるのになぜだ?
首を傾げながら電話を切り、改めてゆっくり番号を入力し、発信する。
しかし、数コール目でまたしても。
“おかけになった電話番号は現在使われておりません…”
またかよ。
Nさんは溜息を吐き、そのままスマホを耳に当て続ける。
“…番号をお確かめになるか、又はご冥福をお祈りシて下さイ。”
トラウマになりそう。
何と言っていいか。
大変面白かったです。
どきっとしました。
彼女さんがかわいそう
無感情で言ってたんだろうな…