廃墟で見つけたモノ
投稿者:Mine (24)
机と横倒しの椅子、ファイル類が並んだ棚等がある6畳ほどの広さの部屋だった
あまり人が入らなかったのだろう、埃は積もってるが他の部屋よりは比較的綺麗で整然としている。
懐中電灯を照らしながら一通り見てみるがやはり目ぼしいものはない。
「…期待外れだな。帰るか。」
Aが他の2人に声を掛けた時。
「ちょっと待て」
Cが事務机の下にしゃがみ込んで何やらガタガタと音を立てている。
「何してんだよ」
「いや、この1番下の引き出しだけなんか鍵掛かっててさ、開かないんだよ。」
Cは引き出しを力一杯引っ張るがびくともしない。
「もういいだろ、帰ろうぜ」
「もう少し待てよ、何が入っているかめっちゃ気になるんだよ。」
AとBが窘めるも聞き入れずCは奮闘していたが、やがて手を止めて立ち上がった。
やっと諦めたかと思いきや「確か庭に使えそうなのが落ちてたな」と外に出て行き、しばらくすると大きなスコップを手にして戻って来た。
わずかに開いた引き出しの隙間にスコップをねじ込み、テコの要領で柄に体重をかける。
バキッと何か折れた音がして、ついにCの執念が実を結び、引き出しが開いた。
中を懐中電灯で照らすとノートらしき物があった。
取り出すと年代物の、紐で綴じるタイプの黒い表紙の冊子だった。
“持ち出し厳禁”と表紙に書いている。
めくるとその日の職員の勤務状況、施設内の様子、訪問した業者とのやり取り等が几帳面に書き込まれている。
業務日誌のようで、他のページも同じ内容だった。
「なんだ、つまんね。」
パラパラめくりながらCがぼやいた時、一枚の写真が途中に挟み込まれていた。
抜き取り、ライトを照らす。AとBも横から覗き込む。
そこには横一列に並んだ5人の児童が写っていた。
背景には初めに見かけたキリンの滑り台がまだ現役の状態で鎮座している。
異様だったのは、5人全員の顔がマジックで黒く塗り潰されていて判別できず、更に左の子から順に1、2、3、4、5と番号がそれぞれ頭の上に振られていたからだ。
「なんだよ、この写真…」
その場にいた全員息を呑む。
Cが写真を裏返した。
虐待で殺されたのか心が痛みます。
廃墟だからと言って、物を壊すのはいけませんね。
C君は一度お祓いした方が良いかと思います。