私の宝物
投稿者:Mine (24)
「今夜もダメだったな…」
ある晩、いつもの様にカナコに会えなかった私は家に帰ろうと事故現場に背を向け歩き出した時だった。
歩道の植え込みの中に街路灯の光を受けて銀色に輝く何かが視界を掠めた。
何となく手に取ってみるとチェーンの千切れた見覚えのあるペンダントだった。
蓋を開けると今はお空にいるというトイプードルの写真が入っていたから間違いない、カナコのペンダントだ。
そこで私は誰かが言った噂の一つを思い出す。
上半身だけのカナコは悲しそうな顔をしながら何かを探している様子だったってこと。
もしかしてこのペンダントを…?
心臓が高鳴る。
ペンダントを握りしめると、そのまま家に向かって一目散に走った。
部屋に着き、息も絶え絶えにベッドに倒れ込んだ私はペンダントを掲げ持つと、高揚感に似た何かが全身を駆け巡るのを感じた。
夜中に事故現場に出向くのはこの日でやめた。
それから月日は流れ12月の今。
相変わらずカナコの霊の噂は後を絶たない。
週に一度は必ずカナコの霊の目撃談は私の耳に入る。
そしてそれは私の狙い通りだ。
だって私は気づいたから。
カナコの霊は見えないけど、こうして怪談になったカナコにならいつでも会えるってことに。
ねえ。お願い、カナコ。
ずっとそのままでいてね。
誰にも忘れられない様に地縛霊としてそこに留まって、沢山の人を怖がらせて。
みんながカナコの事を語り継いでくれる限り、カナコはみんなの心の中で生き続けられるでしょ?
今この時間も上半身だけのカナコは道路に血の跡を残しながら、はらわたを引きずってありもしないペンダントを必死に探してるんだろうね。
きっと明日も、明後日も。
だから私はもう寂しくないよ。カナコ。
成仏なんて絶対させるもんか。
ペンダントを丁寧な手付きで引き出しにしまい、ココアの残りを飲み干して私は試験勉強の続きを再開した。
友達だと思うのであれば成仏させてあげることですよ。
流れるような文章がうまい。
試験落ちろw
ヒトコワじゃないのこれ…gkbr
ヒドいね、友達とは思えない。エゴの塊です。親友が夜な夜な引きちぎれた身体で歩いているなんてね